📊 事実
陸上養殖業の制度導入と規制
- 令和5年4月1日より、内水面漁業の振興に関する法律施行令の改正に伴い、陸上養殖業の届出制が開始された。ソース1 ソース4 ソース5 ソース6
- 届出対象は、食用の水産物を海水、淡水に塩分を加えた水、下水処理水、閉鎖循環式養殖において化学的なろ過を行った水など、水質に変更を加えた水を使用して養殖しているもの、または餌や糞等を取り除かずに排水しているものである。ソース1 ソース3 ソース4 ソース5
- 地下海水を使用する養殖も届出対象に含まれるが、水質に変更を加えず物質を物理的に除去する方法を満たす淡水掛け流し式養殖は届出対象外である。ソース1
- 届出をしない、または虚偽の届出をした者には、10万円以下の罰金が科せられる可能性があると規定されている。ソース3 ソース4 ソース5
- 令和5年4月1日から同年6月30日までの間に、現に陸上養殖業を営んでいた事業者は届出書の提出が義務付けられ、新規事業者は養殖開始日の1ヶ月前までに届出が必要である。ソース4 ソース5
- 実績報告は、4月1日から翌年3月31日までの実績について、翌年4月30日までに提出する義務がある。ソース1 ソース5
- 制度導入の背景として、停電等のトラブルによる海水や病原菌の淡水系(河川等)への流出リスクが具体的に挙げられている。ソース1
陸上養殖業の届出状況と規模
- 令和6年1月1日時点での陸上養殖業の届出件数は662件であった。ソース10
- 令和8年1月1日時点では、届出件数は808件に増加しており、前年(740件)から68件増加した。この間に新規届出は110件、廃止は42件であった。ソース3 ソース9
- 都道府県別では、令和8年1月1日時点で沖縄県が195件と最も多く、次いで大分県53件、鹿児島県36件である。ソース9
- 養殖種類別では、令和8年1月1日時点でクビレズタが172件と最多で、ヒラメ124件、クルマエビ117件、バナメイエビ107件が続く。ソース9
- 届出件数には、河川や川沿いで営まれている陸上養殖および大臣の許可が必要なうなぎ養殖は含まれていない。ソース10
- 令和3年度の調査では、陸上養殖業者391事業者のうち、約70%が生産量10トン未満の中小規模事業者であることが示されている。ソース8
陸上養殖業の生産・出荷実績
- 令和3年度の推定生産量は、ヒラメ670トン、ニジマス551トン、クルマエビ449トンである。ソース8
- 令和5年度の陸上養殖業による合計出荷数量は6,392トンであった。主な品目は魚類(4,802トン)で、特にヒラメが1,786トン、トラフグが1,324トン、ニジマスが791トンを出荷した。ソース2 ソース7
- 令和6年度の陸上養殖業による合計出荷数量は6,907トンであり、前年度から515トン増加した。魚類は5,211トンを占める。ソース2 ソース3
- 令和6年度の出荷量では、ニジマスが1,278トン(前年度比487トン増)と顕著に増加し、スジアオノリ(103トン増)とバナメイエビ(94トン増)も増加傾向を示した。ソース2
💡 分析・洞察
- 陸上養殖業の届出制導入と出荷量増加は、日本の水産物供給基盤の多様化と安定化に寄与する可能性がある。特にニジマスなど特定の魚種での生産増加は、国内需要への対応力を高め、輸入依存度を低減させる一助となり得る。
- 届出件数の増加は、陸上養殖産業への新規参入が活発であることを示唆しており、これは地域経済の活性化や新たな雇用創出の機会となる。沖縄県に件数が集中している点は、気候的優位性や地域振興策との関連性が推察される。
- 既存事業者への届出義務付けと新規参入者への事前届出要求、実績報告義務は、産業の透明性を高め、環境リスクの予見と管理を強化する政府の意図が明確である。罰則規定は、法令遵守を促す上で不可欠な要素となっている。
⚠️ 課題・リスク
- 陸上養殖施設からの排水による環境汚染リスクが依然として存在する。停電時の海水・病原菌の淡水系への流出可能性が指摘されており、地域住民の生活環境や既存漁業への潜在的脅威となり得る。ソース1
- 届出制の罰則が10万円以下の罰金であるため、特に大規模事業者における遵守インセンティブが不足し、環境管理コストを回避するために虚偽報告や無届での操業が行われるリスクを完全に排除できない。ソース3 ソース4 ソース5
- 届出対象外とされる淡水掛け流し式養殖や、届出件数に含まれない河川・川沿いの陸上養殖、大臣許可のうなぎ養殖など、一部の陸上養殖業の実態が届出制の枠外にあり、これらの環境影響に対する監視や情報収集が不十分となる可能性がある。ソース1 ソース10
- 令和3年度の調査で約70%が生産量10トン未満の中小規模事業者であることから、各事業者の技術的・資金的基盤の脆弱性が懸念される。災害や市場変動に対する耐久性が低く、事業継続困難に陥った際の環境管理体制の崩壊や、国民負担を伴う支援の必要性が生じる可能性がある。ソース8
主な情報源: 水産庁

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