ロシアと中国の安全保障協調が、ラテンアメリカおよびカリブ海地域の安全保障環境にどのような影響を及ぼすか、その現状と潜在的リスクを日本の国益の観点から分析する。

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📊 事実

ロシア・中国の安全保障協力の進展

  • ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と中国の習近平国家主席は、2022年2月4日に「無制限のパートナーシップ」を宣言したソース2
  • ロシアは中国から経済支援を得ておりソース4、さらに北朝鮮からは兵士、兵器、弾薬、労働力を供給されているソース4。ロシアと北朝鮮は5カ年の軍事協力計画を策定したソース8

ラテンアメリカにおける安全保障環境と米国の戦略的対応

  • アメリカ合衆国は2025年国家安全保障戦略と2026年国家防衛戦略を策定し、アメリカ大陸における安全保障政策を最優先しているソース2
  • 米国のシンクタンクCSISアメリカプログラムは、中露協力がアメリカの安全保障に与える影響を評価するためのテーブルトップ演習を2025年秋に実施したソース2 ソース3
  • 演習は2027年1月にコロンビアとベネズエラの国境での緊張状態をシミュレーションする形で行われたソース2
  • 演習シナリオにおいて、ベネズエラは中国に安全保障協力を求めたソース3。これに対し、ロシアはベネズエラの中国への移行に対してサイバー攻撃を行ったソース3
  • 演習では、ロシアが実施した16の行動のうち11がエスカレーション的なものであったソース1
  • アメリカは、ラテンアメリカとカリブ海地域の国々に対する安全保障協力の主要パートナーとして選ばれていると認識しており、ニカラグアの安全保障と経済的な結びつきを強化する必要があるとしているソース1
  • コロンビアは2020年から2024年の間にアメリカからの外国軍事資金の5%を受け取り、政府は170億ドルを投じて空軍防衛を強化する計画を進めているソース1。米国はコロンビアに対しSaab JAS-39 Gripenを提案し、中国のJ-10Cを拒否したソース3

広範な国際情勢の動向

  • ロシアによるウクライナ全面侵攻が開始されてから4年が経過しておりソース4 ソース8、世界的な防衛市場は10年で5割増加すると予測され、2035年には軍事費が4兆ドル(約640兆円)以上に達する見込みであるソース5
  • 令和8年版外交青書では、東・南シナ海における中国の覇権主義的行動やレアアースを含む重要鉱物の輸出管理規制を反映し、中国を「最も重要な2国間関係」から「重要な隣国」へと格下げしたソース10

💡 分析・洞察

  • ロシアと中国の「無制限のパートナーシップ」宣言と、米国がアメリカ大陸の安全保障を再優先する戦略は、ラテンアメリカを既存の国際秩序に対する地政学的な挑戦の場として位置づける。これは、演習シナリオにおけるロシアのエスカレーション的行動やサイバー攻撃、そしてベネズエラが中国に安全保障協力を求める動きが示唆する、地域における米国の優位性への組織的な挑戦として解釈される。
  • ラテンアメリカにおける中露の安全保障協調は、同地域に新たな軍事的・サイバー空間的緊張をもたらす可能性が高く、結果として米国の戦略的資源がより広範囲に分散されざるを得なくなる。この状況は、日本の安全保障に不可欠なインド太平洋地域への米国のコミットメント能力に間接的な影響を与える恐れがある。

⚠️ 課題・リスク

  • ラテンアメリカにおける中露の安全保障協調の具体化は、米国の対抗能力と資源配分に直接的な圧力をかけ、国際的なパワーバランスを不安定化させる。これは、日本の安全保障にとって最も重要な同盟国である米国が、自国近隣の安定化に重点を置かざるを得なくなることで、インド太平洋地域への戦略的資源配分が相対的に低下する懸念を増大させる。
  • 中露が反米的な政権への安全保障協力を強化し、地域の軍事的緊張を高めることは、日本が依拠する自由で開かれた国際秩序の原則を侵食する。この広範な国際秩序の不安定化は、日本の外交戦略に新たな制約を課し、国民負担を伴う防衛能力の一層の強化や、多様な安全保障協力の模索を余儀なくさせる可能性を内包する。

主な情報源: 日本国際問題研究所 / 日本経済新聞 / 産経新聞 / 朝日新聞 / CSIS(戦略国際問題研究所)

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