📊 事実
教員の長時間労働の実態とストレス状況
- 令和6年度の調査結果によると、校長については、小学校で23.6%、中学校で23.9%、高等学校で12.4%、特別支援学校で13.4%が、月当たり時間外在校等時間が45時間を超過している ソース1 。
- 副校長・教頭については、小学校で64.2%、中学校で64.7%、高等学校で39.7%、特別支援学校で48.9%が、月当たり時間外在校等時間が45時間を超過している ソース1 。
- 副校長・教頭については、小学校・中学校で月当たり時間外在校等時間が80時間を超過している割合が1割強となっている ソース1 。
- 教諭については、小学校で24.8%、中学校で42.5%、高等学校で28.2%、特別支援学校で8.4%が、月当たり時間外在校等時間が45時間を超過している ソース1 。
- 公立学校共済組合において、2016年度から2022年度までの7年度分のストレスチェックの結果データを分析した結果、ストレスチェックを受検した教職員のうち、高ストレス者として判定されたものの割合は全体的に上昇傾向にある ソース1 。
- ストレスチェックを受検した教職員のアンケートの回答によると、ストレス要因として「事務的な業務量」が最も高い割合で挙げられている ソース1 。
- 令和5年度中に病気休職処分となった公立学校の教育職員は9,408人で、そのうち精神疾患による病気休職者数は7,119人である ソース3 。
- 精神疾患による病気休職者数は全教育職員の0.77%であり、令和4年度から580人増加した ソース3 。
働き方改革に向けた政策と取り組み
- 学校における働き方改革の取組を進めることは重要であり、客観的な在校等時間の把握は必要不可欠なスタートラインである ソース1 。
- 「公立学校の教育職員の業務量の適切な管理その他教育職員の服務を監督する教育委員会が教育職員の健康及び福祉の確保を図るために講ずべき措置に関する指針」において、教育委員会におけるICTの活用やタイムカードなどの客観的な方法による在校等時間の計測を求めている ソース1 。
- 令和6年度の調査結果によると、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校のすべての学校種において、客観的な方法による在校等時間の把握が行われている ソース1 。
- 政令市を除く市区町村において、小学校及び中学校は99.0%、高等学校は97.6%、特別支援学校は98.0%の実施率となっている ソース1 。
- 令和元年度には、域内の学校で在校等時間の客観把握が行われている教育委員会の割合が48.2%であった ソース1 。
- 令和6年度の調査結果によると、令和7年度には全ての教育委員会において在校等時間の把握が行われることが明らかになった ソース2 ソース3 。
- 令和6年度には、全国の教育委員会における「学校以外の主体が中心となった登下校時の対応」、「部活動への部活動指導員等の参画」、「授業準備における支援スタッフの参画」、「支援が必要な児童生徒等・家庭への対応に係る専門的な人材等の参画」の実施率が7割を超えている ソース1 。
- 平成31年1月に中央教育審議会が「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(答申)」を提言した ソース3 。
- この提言内容には、勤務時間管理の徹底、業務の明確化・適正化、組織運営体制の在り方、勤務時間制度の改革、環境整備の一体的な推進が含まれている ソース3 。
- 文部科学省は平成31年1月に「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」を法的根拠のある「指針」に格上げした ソース3 。
- 令和元年12月4日に「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和元年法律第72号)」が成立した ソース2 ソース3 。
- 「指針」は令和2年4月1日に施行され、一年単位の変形労働時間制は令和3年4月1日に施行された ソース3 。
- 「指針」では、教育職員が学校教育活動に関する業務を行っている時間を「在校等時間」と定義し、勤務時間管理の対象とした ソース3 。
- 所定の勤務時間を超える在校等時間の上限は月45時間、年360時間以内と定められている ソース3 。
- 文部科学省は令和5年度に引き続き令和6年度も「公立学校教員のメンタルヘルス対策に関する調査研究事業」を実施している ソース3 。
- 令和6年4月に公表された令和4年度教員勤務実態調査の確定値によれば、平日・土日ともにすべての職種において在校等時間が減少している ソース3 。
- 令和6年8月に中央教育審議会が「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について答申した ソース3 。
- この答申には、学校における働き方改革の加速化、指導・運営体制の充実、教師の処遇改善が必要であるとされている ソース3 。
- 令和7年6月11日に「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律(令和7年法律第68号)」が成立した ソース1 ソース3 。
- 文部科学省は、教師が心身ともに充実した状態で日々子供たちと接することができるよう、学校における働き方改革に向けた取組を進めていくこととしている ソース1 。
- 札幌北陵高校は令和6年から働き方改革に積極的に取り組む「推進校」に指定された ソース3 。
- 札幌北陵高校では生徒に1人1台のiPadを導入し、教員間のコミュニケーションや課題提出、出席管理をデジタル化している ソース3 。
💡 分析・洞察
教員の長時間労働と待遇改善に関する政策提言の背景には、教職員の過重な労働実態とそれに伴う精神的負担の増大があると言える。特に、副校長・教頭の半数以上が月45時間を超える時間外在校等時間を抱え、小学校・中学校では1割強が月80時間を超過している状況は、深刻な長時間労働を示している。また、高ストレス者の割合が上昇傾向にあり、精神疾患による病気休職者数も増加していることから、教職員の心身の健康が危機に瀕していることが伺える。ストレス要因として「事務的な業務量」が最も高い割合で挙げられていることから、教育活動以外の業務負担が教員の働き方を圧迫していると考えられる。
これらの状況に対し、政府や教育委員会は客観的な在校等時間の把握を必須のスタートラインと位置づけ、ICT活用やタイムカード導入を推進している。これにより、令和7年度には全ての教育委員会で在校等時間の把握が行われる見込みであり、働き方改革の基盤が整備されつつある。また、学校以外の主体による登下校対応や部活動指導員、支援スタッフの参画など、外部人材の活用による業務負担軽減策も7割以上の教育委員会で実施されており、業務の明確化・適正化が進められている。
中央教育審議会の答申や関連法の成立は、これらの問題に対する国としての強い危機感と改善への意思を示しており、勤務時間管理の徹底、業務の明確化・適正化、組織運営体制の改革、勤務時間制度の改革、環境整備の一体的な推進、そして教師の処遇改善といった多角的なアプローチが政策提言の背景にある。
⚠️ 課題・リスク
現状から、以下の課題やリスクが懸念される。
– 長時間労働の常態化: 副校長・教頭の過半数が月45時間以上の時間外在校等時間を抱え、一部では月80時間を超える状況は、依然として教職員の長時間労働が常態化していることを示しており、健康被害や離職につながるリスクが高い。
– 精神的健康の悪化: ストレスチェックにおける高ストレス者の割合の上昇や、精神疾患による病気休職者数の増加は、教職員のメンタルヘルスが悪化している深刻な状況を示しており、教育の質の低下や人材確保の困難化を招く可能性がある。
– 事務的業務量の負担: ストレス要因として「事務的な業務量」が最も高い割合で挙げられていることから、教育活動に集中できる環境が十分に整備されていないことが課題であり、教員の専門性を活かせない状況が続くリスクがある。
– 働き方改革の実効性: 在校等時間の客観的把握が進んでいる一方で、実際の時間外在校等時間の削減が十分に進んでいない職種も存在するため、制度導入だけでなく、実質的な業務削減や効率化が伴わない場合、改革が形骸化するリスクがある。
– 処遇改善の遅れ: 中央教育審議会の答申で教師の処遇改善が必要とされているものの、具体的な改善策やその効果がまだ明確ではないため、教員のモチベーション維持や優秀な人材の確保に影響を及ぼすリスクがある。
主な情報源: 厚生労働省

コメント