📊 事実
こども白書の概要と政策理念
- 令和7年版こども白書は、こども基本法第8条第1項に基づき、令和6年度におけるこどもをめぐる状況と政府のこども施策実施状況を報告するため、2025年5月30日に第217回国会(常会)へ提出された ソース1 。
- この白書は「こどもまんなか社会」の構築を目指す施策や取組を紹介しており、全てのこども・若者が安全・安心な居場所を見つけられる社会、若い世代のライフデザインや出会いのサポート、保育政策の新たな方向性、こどもの悩みに寄り添える社会に向けたプロジェクトチームの取組を特集している ソース1 。
- 令和5年12月には「こども基本法」に基づき「こども大綱」が策定され、2024年5月31日には「こどもまんなか実行計画2024」が決定された ソース3 ソース9 。
こども家庭庁による主要施策と推進体制
- こども家庭庁は、2024年度に「こどもまんなかアクション」を推進し、2025年3月には「こどもまんなか社会実現プラットフォーム」設立のための準備会合を5回開催した ソース3 。
- 「こども政策DX」の推進として、2024年度にモデル事業を実施予定であり、全国10の地方公共団体と協力してこどもデータ連携実証事業を実施した ソース1 ソース3 。
- 自治体こども計画の策定支援を行い、2024年5月24日にガイドラインを公表しており、2025年1月1日時点では福井県や松戸市などで計画が策定されている ソース2 ソース3 。
- 令和6年4月より「こども家庭センター」が創設され、全ての妊産婦・子育て世帯・こどもに対し相談支援を行う機関として、令和6年10月1日時点で917市区町村(全市区町村の52.7%)に1,055箇所が設置されており、令和8年度末までの全国設置を目指している ソース7 。
- こども家庭センターは、家庭の困難を早期に把握し、保健師やこども家庭支援員等が一体となって包括的・継続的な支援を行い、要保護児童対策地域協議会の調整機関を担うことが望ましいとされている ソース7 。
- 「こども性暴力防止法」に関する検討会が開催され、妊娠期から子育て期までの包括的・切れ目のない支援や「はじめの100か月の育ちビジョン」に基づく普及啓発・コーディネーター養成が進められている ソース1 ソース2 ソース3 。
- 貧困の解消・連鎖防止に向けた学習支援、障害のあるこどもの支援、里親支援センター及び社会的養護自立支援拠点事業における自治体の取組が推進されている ソース1 。
- 里親支援センターは里親等への相談・援助を目的とし、里親養育包括支援(フォスタリング)事業ではリクルート、アセスメント、研修、マッチング、養子縁組に関する相談・支援費用が補助される ソース3 。
- 児童養護施設等体制強化事業により、補助職員の雇上費を補助し職員の業務負担を軽減している ソース3 。
- 児童発達支援センターは令和4年改正児童福祉法により地域における障害児支援の中核的役割を担うことが明確化され、2023年度からは地域障害児支援体制強化事業で専門人材の養成が行われている ソース3 。
- こども家庭庁は、児童相談所における個別面談等を通じた燃え尽き防止のため、定着支援アドバイザーの配置を支援している ソース3 。
- ひきこもり・不登校等の社会生活困難者への支援に従事する者を対象とした研修を実施している ソース3 。
- 2024年7月及び11月には「こども政策に関する国と地方の協議の場」が開催された ソース3 。
文部科学省による教育関連施策
- 文部科学省は、令和元年10月から幼児教育・保育の無償化を実施し、令和2年4月からは高等教育の修学支援新制度を実施している ソース9 。
- 令和7年度からは、多子世帯の学生等について所得制限なく国が定める一定額まで授業料・入学金が無償化される ソース9 。
- 私立幼稚園は子ども・子育て支援制度への移行を自由に選択でき、令和7年4月1日現在で7,705園中72.2%(5,562園)が移行済となる見込みである ソース4 。
- 幼稚園等における預かり保育等に係る補助の充実や、幼稚園のまま保育を必要とする0歳から2歳児を定期的に預かる仕組みを継続して実施している ソース4 。
- こども家庭庁は、令和8年度より0歳6か月から満3歳未満の未就園児を対象に、就労要件を問わず時間単位等で柔軟に利用できる新たな通園給付を本格実施する ソース4 。
- 特別支援学校の在籍者数は約15.5万人(令和6年5月1日現在)、特別支援学級の在籍者数は約39.5万人(令和6年5月1日現在)、通級による指導を受けている児童生徒数は約19.8万人(令和4年度通年)である ソース4 。
- 特別支援教育は、発達障害を含め、特別な支援を必要とする子供が在籍する全ての学校で実施され、特別支援学校の教員の免許状保有率は約87.2%(令和5年度調査)である ソース4 。
- 令和6年3月の特別支援学校高等部卒業者のうち、福祉施設等入所者の割合は約62.1%、就職者の割合は約29.6%であり、就職者数は増加しているものの、在籍者数の大幅な増加により就職者の割合は微増にとどまっている ソース4 。
- 令和6年度には、特別支援教育支援員に7万3,200人分、医療的ケア看護職員に4,550人分の配置にかかる地方財政措置や補助が行われた ソース4 。
- 文部科学省は、障害のある子供が就学前から卒業後にわたる切れ目ない支援を受けられる体制整備に必要な経費を補助する事業を実施している ソース4 。
- 文部科学省と厚生労働省は令和元年度から「家庭・教育・福祉連携推進事業」を実施し、令和5年4月にはこども家庭庁、文部科学省、厚生労働省合同で「障害や発達に課題のあるこどもや家族への支援に関する家庭・教育・福祉の連携についての合同連絡会議」が設置された ソース4 。
- 公立学校教員のメンタルヘルス対策に関する調査研究事業を2023年度より実施している ソース3 。
- 文部科学省は、保護者や地域住民が学校運営に参画する「コミュニティ・スクール」や「地域学校協働活動」を推進している ソース6 ソース9 。
- 令和5年度の全国の児童相談所における児童虐待に関する相談対応件数は22万5,509件であった ソース9 。
不登校・非行・犯罪被害者支援
- 不登校児童生徒数は約30万人で過去最高を記録しており、90日以上不登校の小中学生のうち4.6万人が専門機関での支援を受けていない ソース8 。
- 文部科学省は「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」を策定し、全国300校の不登校特例校設置と教育支援センターの機能強化を目指している ソース8 。
- 不登校の児童生徒に対しては、教育委員会やフリースクールなど複数の相談先が存在し、在籍校での出席認定や成績評価の対象となる学びの場が提供されている ソース10 。
- 文部科学省及び厚生労働省は、高等学校等と地域若者サポートステーションとの連携強化を図り、中途退学者等への支援を実施しており、全国179か所の地域若者サポートステーションではアウトリーチ型の相談支援が行われている ソース6 。
- 文部科学省は、いじめ防止対策推進法に基づき、道徳教育等を通じたいじめ防止の取組を推進し、犯罪に相当するいじめ事案については直ちに警察に相談・通報を行うよう通知している ソース6 。
- 教育委員会が弁護士への法務相談を行える体制構築を重要視し、その経費は普通交付税措置されている ソース6 。
- 文部科学省は、再非行防止の観点から学校における非行防止の取組を推進し、警察官等を招いた「非行防止教室」や犯罪被害者等による「命の大切さを学ぶ教室」の実施を促している ソース6 。
- 文部科学省と警察庁は「問題行動に関する連携ブロック協議会」を令和6年度に東北地方と近畿地方で開催した ソース6 。
- 文部科学省は「第六次薬物乱用防止五か年戦略」を踏まえ、全ての中学校及び高等学校で年1回の薬物乱用防止教室開催を指導し、令和6年度には「薬物乱用防止教育のスライド資料集」等を作成予定である ソース6 。
- 法務省は、少年鑑別所が地域の教育関係機関からの心理相談等を受け付けており、令和6年の相談件数は4,358件であった ソース6 。
- こども家庭庁は、子ども・若者支援地域協議会(142の地方公共団体)及び子ども・若者総合相談センター(122の地方公共団体)の整備を促進している(令和6年4月現在) ソース6 。
社会状況データ
- 出生数、合計特殊出生率、婚姻件数、離婚件数、未婚割合の推移に関するデータが存在する ソース2 。
- こどもの貧困率及びひとり親世帯の貧困率に関するデータが存在する ソース2 。
- いじめの重大事態の発生件数、SNSに起因する事犯の被害に遭った18歳未満の者に関するデータが存在する ソース2 。
- 30歳未満の死因に関するデータが存在する ソース2 。
- 「自国の将来は明るい」と思うこども・若者の割合、「こども政策に関して自身の意見が聴いてもらえている」と思う人の割合、「こどもまんなか社会の実現に向かっている」と思う人の割合に関するデータが存在する ソース2 。
💡 分析・洞察
- 「こどもまんなか社会」の理念に基づき、多岐にわたる社会課題への包括的なアプローチが試みられている。特に、こども家庭センターの全国展開目標や、教育・福祉・司法機関の連携強化は、個別の問題解決に留まらず、社会全体でこどもを支える体制構築を目指すものであり、将来的な治安維持と国民負担の軽減に資する可能性がある。
- 少子化が急速に進行する中で、幼児教育・保育の無償化や多子世帯への高等教育無償化といった経済的負担軽減策は、出生率低下への直接的な対抗策として機能し、将来の労働力人口確保と社会保障制度の持続可能性に影響を与える。
- 不登校児童生徒の増加や児童虐待相談件数の高止まりは、既存の教育・福祉システムだけでは対応しきれない社会構造的な課題を示唆しており、デジタル技術を活用したデータ連携やアウトリーチ型支援の強化は、支援の早期化・個別化を通じて、社会の安定と国民の福祉向上に寄与する可能性がある。
⚠️ 課題・リスク
- こども家庭センターの全国設置目標(令和8年度末)に対し、令和6年10月1日時点で設置済みの市区町村が52.7%に留まっており、地域間での支援体制の格差が拡大するリスクがある。これにより、支援が必要なこどもや家庭が適切なサービスを受けられない地域が発生し、社会的な不均衡や治安悪化の一因となる可能性がある。
- 特別支援教育における就職者の割合が在籍者数の大幅な増加に対して微増に留まっている現状は、障害のある若者の社会参加と自立を阻害する要因となり、将来的な福祉負担の増加や生産性低下に繋がる懸念がある。
- 不登校児童生徒が過去最高を記録し、そのうち約4.6万人が専門機関の支援を受けていない状況は、将来的な社会的不適応や非行、ひきこもりといった問題に発展するリスクを内包している。これは、若年層の労働力喪失や社会保障費の増大、さらには治安悪化に直結する可能性がある。
- 児童虐待相談対応件数が22万件を超える高水準で推移していることは、家庭内におけるこどもの安全が十分に保障されていない現状を示しており、こどもの健全な育成を阻害し、将来的な社会問題や犯罪発生リスクを高める深刻な課題である。
主な情報源: 文部科学省 / こども家庭庁 / 法務省 / 警察庁

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