支那による領海侵犯の違法性について

中国海警局の船舶が尖閣諸島周辺の接続水域内に入域したり、日本の領海に侵入した場合、それぞれ国際法および国内法に基づいてどのような違法性があるのかを整理します。


1. 接続水域内入域

国際法上の位置付け

接続水域は、**国連海洋法条約(UNCLOS)**第33条に基づき、沿岸国が領海の外側24海里まで設定できる区域です。接続水域では、沿岸国が以下の管轄権を持ちます。

  • 関税、財政、出入国管理、衛生に関する法令の違反を防止する権利
  • 領海内での違反を取り締まる権利

犯罪性の有無

  • **公船(政府所属船)**が接続水域内に入域すること自体は、直ちに違法とはならない。
  • ただし、日本の主権を害する行為(違法な測量活動、漁業活動、威嚇行為など)を行った場合、日本の国内法に基づいて対応可能。

2. 日本の領海への侵入

国際法上の位置付け

日本の**領海(基線から12海里以内)**では、沿岸国の主権が完全に及ぶ区域となるため、外国の公船が無害通航権(UNCLOS第17条)を逸脱した場合、違法行為とみなされる可能性があります。

犯罪性の有無

(1)公船(政府船)が領海に侵入した場合

  • 無害通航(UNCLOS第19条)に該当しない場合、日本の主権侵害となる
  • 国際法上、公船は外国の刑事管轄権の対象外となるが、日本政府は外交的抗議や退去要求を行う

(2)民間船舶が領海侵犯した場合

  • 日本の「領海等における外国船舶の航行に関する法律」に基づき、領海内の違法行為があれば拿捕や処罰の対象になる
  • **無害でない活動(違法操業や調査活動など)**を行った場合、刑事罰の対象になる可能性がある

3. 関連する日本の国内法

日本国内法では、主に以下の法律が適用されます。

(1)領海等における外国船舶の航行に関する法律

  • 外国船舶が日本の領海に入り、「無害通航」に該当しない行為(軍事活動、漁業活動、情報収集など)を行った場合、違法とされる
  • 処罰の規定:不法行為を行った場合、日本の警察や海上保安庁が警告・退去要求・必要に応じた対応(公船は排除、民間船は拿捕)を実施

(2)出入国管理及び難民認定法

  • 外国の公船が不法上陸や乗組員を日本に上陸させる行為をした場合、違法行為として対応

(3)漁業法・排他的経済水域(EEZ)関連法

  • 接続水域や領海内での違法操業は、日本の漁業法や排他的経済水域に関する国内法によって取り締まり可能

4. 中国海警局の行為の問題点

中国海警局の船舶が尖閣諸島周辺で繰り返し接続水域に入域し、一部は領海侵入を行う背景には、日本の領有権に対する挑戦的な意図があると考えられます。
これらの行為は、以下の点で問題視されます。

  1. 接続水域への常態的な入域
    • 日本の領有権を否定するような意図を持つ行為であり、国際社会での摩擦を引き起こす
  2. 領海侵入(領海侵犯)
    • 国際法上の無害通航権を逸脱し、日本の主権侵害となる行為
  3. 武装公船の活動
    • 2021年2月に施行された中国海警法では、海警局の船舶に外国船舶への武器使用を許可する規定が含まれており、日本の安全保障上の懸念が高まっている

5. 日本の対応

日本政府および海上保安庁は、以下の対応を行っています。

  • 海上保安庁の巡視船が常駐し、領海侵入時には即座に警告・退去要求
  • 中国政府に対し、外交ルートを通じた抗議
  • 日米安保条約に基づく防衛協力の強化
  • 領海警備能力の強化(巡視船の増強、海上保安庁の人員拡充)

まとめ

  • 接続水域の入域自体は直ちに違法ではないが、主権侵害の意図があれば問題となる
  • 領海侵入は、日本の主権を直接侵害する行為であり、外交的・実務的対応が求められる
  • 日本の法律では、無害通航に該当しない行為は取り締まりの対象となる
  • 中国海警法の施行により、軍事的な緊張が高まる可能性があるため、日本は警戒を強めている

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