1973年のブレトン・ウッズ体制の崩壊後、ドルの権威は衰えていた。アメリカは1年足らずの間に通貨を2度も切り下げ、「ドルは病んでいる通貨」と世界中で評されていた。しかし、バーリー・アイケングリーンは著書『過剰な特権』でその見方が間違っていたことを指摘している。アメリカの経済シェアは2000年までに27%から23%に減少したが、他国がニューヨークに資産を預け、通貨防衛のための準備金を積み増したことで、ドルの需要は逆に増加した。
中国の人民元はアメリカドルに取って代わるには程遠い
近年、中国の人民元(CNY)が国際的な取引や投資の場で注目を集めていますが、アメリカドル(USD)と比較した場合、その地位は依然として脆弱です。特にアジア地域において、日本円(JPY)とドルの影響力に対抗するのは容易ではありません。本記事では、人民元がドルに取って代わる可能性とその障害について探ります。
人民元の国際的地位の現状
人民元の国際通貨としての使用は緩やかに増加しているものの、ドルに比べてそのシェアは低いままです。国際通貨基金(IMF)のデータによれば、人民元は2021年末時点で世界の外貨準備高の約2.3%を占めており、これはドルの59%に対して、まだまだ大きな差があります。さらに、人民元は貿易取引においてもまだ限定的であり、その影響力は主にアジア地域に留まっています。
為替市場の安定性と規制
人民元の課題の一つは、その為替市場の安定性と中国政府の厳格な規制です。人民元は国際的にはまだ完全に自由に取引できる通貨ではなく、中国政府は為替レートを管理し、資本の流れを制限しています。このことは、投資家や海外企業が人民元を使用する際の不安を生じさせ、国際的な流通への障壁となっています。
一方で、アメリカドルは流動性が高く、国際的に広く受け入れられているため、取引の際に安定した選択肢として利用されています。その結果、ドルは依然として世界の貿易や金融取引の中心に君臨しています。
日本円との比較
日本円もアジアにおける重要な通貨ですが、人民元がドミナントな役割を果たすことはないでしょう。円は国際市場での流動性が高く、投資家にとってリスクヘッジの手段としても利用されています。特に、円は「安全資産」とみなされており、経済不安や市場の下落時には投資家が円に資金を移す傾向があります。
また、日本の経済は安定しており、中央銀行である日本銀行の金融政策も比較的透明性が高いことから、円に対する信頼性が保たれています。このため、企業や国際機関が円を使った取引を選ぶ理由が増えているのです。
まとめ
中国の人民元はその役割を拡大し続けていますが、アメリカドルに取って代わるには多くの課題があります。規制、為替の安定性、そして国際的な信頼性と流動性の面で still 倒れています。日本円や他の通貨と比較しても、人民元が主導的な地位を確立するには、まだ多くの時間と改革が必要です。
これからの世界経済の動向を注視しながら、人民元の成長とドルの影響力についての議論は続くことでしょう。現時点では、人民元がドルに取って代わるというビジョンは、依然として遠い未来の話であると言えます。
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China’s yuan is nowhere close to displacing the greenback
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After the collapse of the Bretton Woods system of fixed exchange rates in 1973, the US dollar faced significant challenges and was seen as a declining currency. Following two devaluations of the dollar within a year, critics labeled it a “sick currency,” and many predicted a diminishing global role for the dollar. However, contrary to these predictions, as highlighted by Barry Eichengreen in his book “Exorbitant Privilege,” the dollar’s status actually strengthened. Although America’s share of the global economy decreased from 27% to 23% by 2000, the influx of global wealth into US markets and the accumulation of dollar reserves by governments led to a sustained demand for the dollar.
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