📊 事実
薬物乱用の現状と傾向
- 令和7年の日本における大麻事犯の検挙人員は7,120人で過去最多を記録しておりソース3 ソース8、同時期に覚醒剤事犯の検挙人員を上回る水準で推移しているソース8。
- 大麻事犯の検挙人員の70%以上が30歳未満の若年層でありソース3 ソース5 ソース8、国内において若者を中心に大麻の乱用が増加しているソース7。
- 令和6年の大麻事犯の検挙人員は6,342人ソース5、令和5年の大麻事犯の検挙人員も過去最多であったソース5。
- 2017年10月には米国のトランプ大統領がオピオイドの乱用に関する公衆衛生上の非常事態宣言を出しているソース10。
薬物乱用防止のための啓発活動
- 厚生労働省が令和8年8月28日から8月31日に実施した18歳から29歳までの若年層500名を対象とした調査では、回答者の約9割が薬物乱用は心身に悪影響があると認識しているソース1 ソース3。
- 同調査では、回答者の約7割が大麻に依存性があると認識しておりソース1 ソース3、約8割が家族や友人が大麻を使っていたら止めると回答しているソース1。
- 厚生労働省は、この調査結果を基に若年層を対象とした啓発特設サイトを公開し、啓発活動に活用する方針であるソース1 ソース3。
- 厚生労働省は毎年、「不正大麻・けし撲滅運動」(5月1日~6月30日)、「”ダメ。ゼッタイ。”普及運動」(6月20日~7月19日)、そして「麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動」(10月1日~11月30日)といった国民的啓発運動を実施しているソース2 ソース8。
- 青少年の発達段階に応じた薬物乱用防止読本の作成・配布や、小・中学校を始めとした教育機関への講師派遣による薬物乱用防止教室を実施しているソース2。
- 法務省の少年鑑別所は地域の学校等で薬物の危険性や乱用背景要因について講義を行い、更生保護官署は地域住民向け講演会に職員を講師として派遣しているソース2。
- 警察庁は、広報啓発用パンフレット「薬物乱用のない社会を」をウェブサイト掲載・配布しソース2、特に若年層に向けてSNSでのターゲティング広告や動画配信サイトでの啓発メッセージ配信を実施しているソース2。
- 警察庁は、学校や民間企業と連携して薬物乱用防止教室・講習会を開催しソース2、令和7年2月からは「大麻に手を染めてしまった未来」と「踏みとどまった未来」を対比した少年向け啓発動画をウェブサイトやSNS等で発信する予定であるソース2。
薬物事犯者の再犯防止・回復支援策と法整備
- 法務省及び検察庁は、刑事施設内処遇に引き続き社会内処遇を行う刑の一部の執行猶予制度を運用し、薬物事犯者の再犯防止を図っているソース4。
- 法務省は、刑事施設及び保護観察所における薬物事犯者向けプログラムの効果検証を実施し、再犯防止に一定の処遇効果が認められたと報告しておりソース4、プログラムの一層の充実に向けた検討も進めているソース4。
- 刑事施設では薬物依存からの回復に焦点を当てたプログラムが実施され、令和6年度の受講開始人員は6,826人、令和5年度は6,869人であったソース5。
- 少年院では薬物非行防止指導が実施され、令和6年度は395人、令和5年度は334人が修了したソース5。
- 保護観察所では薬物再乱用防止プログラムが実施され、令和6年度の受講者数は2,354人、令和5年度は2,661人であったソース5。
- 厚生労働省は令和元年度から麻薬取締部に専門支援員を配置し、保護観察の付かない全部執行猶予判決を受けた薬物初犯者等を主な対象とした再乱用防止対策事業を実施しているソース4 ソース5。
- この事業は令和3年度から対象を拡大し、令和5年には麻薬取締部の拠点である全ての9地区で試行対象地区を拡大したソース4 ソース5。
- 令和5年の法改正により大麻施用罪が設けられソース4、麻薬取締部の再乱用防止対策事業の対象者に大麻不正施用者も含まれるようになったソース4。
- 令和5年12月には大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律が成立し、令和6年12月に第一段階、令和7年3月に第二段階の改正が施行される予定であるソース5。
- 厚生労働省は毎年、地域の薬物相談を担う保健所や精神保健福祉センター職員等に加え、一般国民も対象に「再乱用防止対策講習会」を全国6ブロックで開催しておりソース2、薬物依存症治療の専門医や家族会が講演を行っているソース2。
予算と関連施策
💡 分析・洞察
- 薬物乱用防止策は多角的に展開されているものの、若年層を中心に大麻事犯検挙者数が過去最多を更新し続けている現状は、広範な啓発活動の効果が限定的である可能性を示唆する。特に、約9割が薬物乱用の悪影響を認識し、約8割が友人・家族の乱用を止めると回答する一方で、実態として乱用が増加していることから、一般的な知識伝達を超えた行動変容を促す深度ある啓発手法が不足していると推察される。
- 大麻施用罪の創設や再犯防止プログラムにおける一定の処遇効果の確認は、法執行と更生支援の両面から薬物乱用に対する国家の断固たる姿勢と実効性ある対策の強化を示している。これは、薬物乱用による治安悪化や社会保障負担増大を防ぎ、国民生活の安全を確保する上で不可欠な国益維持の観点から高く評価できる。
⚠️ 課題・リスク
- 若年層における薬物乱用、特に大麻事犯の増加は、将来的な労働力人口の生産性低下や国民の医療・社会保障負担の増大に直結する。現在の「悪影響認識度が高い」という啓発効果の数値と、実際の乱用増加という行動との乖離は、啓発のメッセージが若年層の価値観や行動様式に深く浸透していないことを示唆しており、単なる情報提供に留まらない、よりパーソナルかつ具体的で共感を呼ぶ啓発戦略への転換が求められる。
- 多様な機関による啓発・再犯防止策が展開されているものの、予算規模(平成27年度で約19億円)と全国的な薬物乱用増加の規模を鑑みると、資源配分の最適化と各施策の費用対効果に関する厳格な評価が不可欠である。特に、若年層が大麻乱用の主要層であることから、SNS広告や動画配信のようなデジタル媒体を通じた啓発の有効性を継続的に検証し、国民の税負担を最小限に抑えつつ最大の効果を発揮するための施策の再構築が喫緊の課題である。
主な情報源: 法務省 / 厚生労働省

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