📊 事実
社会的養護の現状
- 令和5年度の要保護児童数は6,057人であり、前年の5,382人から増加したソース1 ソース2。要保護児童数には、里親・ファミリーホームの委託児童数および乳児院・児童養護施設・児童心理治療施設・児童自立支援施設・母子生活支援施設・児童自立生活援助事業の入所児童数の合計が含まれるソース2。
- 令和6年度末時点の里親等委託率は26.3%であるソース6。
児童養護施設およびその他の施設
- 児童養護施設の入所児童数は令和5年度に23,043人で、前年の27,026人から減少したソース1。
- 児童養護施設の施設数は607か所、定員は28,546人、現員数は21,472人であるソース3 ソース4。
- 児童養護施設に入所している児童のうち、虐待経験がある割合は令和5年度で46.0%であったソース2。
- 乳児院の入所児童数は令和5年度に958人で、前年の616人から増加したソース1。
- 乳児院の施設数は147か所、定員は3,707人、現員数は2,289人であるソース3 ソース4。
- ファミリーホームは505か所あり、委託児童数は1,862人であるソース3。
- 母子生活支援施設の施設数は202か所、定員は4,142世帯、入所世帯は3,266世帯、入所児童数は5,352人であるソース3。
里親制度の現状と課題
- 里親制度の登録里親数は18,038世帯である(内訳:養育里親15,392世帯、養子縁組里親713世帯、親族里親7,677世帯、専門里親624世帯)ソース3 ソース4。
- 実際の委託里親数は5,411世帯である(内訳:養育里親4,350世帯、養子縁組里親166世帯、親族里親377世帯、専門里親587世帯)ソース3 ソース4。
- 里親に委託されている児童数は6,637人である(内訳:養育里親5,198人、養子縁組里親214人、親族里親394人、専門里親831人)ソース3 ソース4。
- 共働き世帯が乳幼児の受託に支障を感じた理由として、子どもの受け入れ準備や交流のための休暇制度がないことが51.2%で最も多かったソース6。
委託・入所理由
関連法改正とこども家庭庁の取り組み
- 平成28年の児童福祉法改正により、児童は家庭において養育することが困難な場合、家庭における養育環境と同様の環境で養育されることが求められているソース6。
- こども家庭庁は、令和8年度の調査研究課題として「児童福祉施設等における業務継続の在り方に関する調査研究」を挙げ、自然災害やサイバー攻撃によるインフラ寸断に備える業務継続ガイドライン及び業務継続計画(BCP)のひな形を作成・配付する予定であるソース9。
- こども家庭庁は「保育所等における虐待事例の分析等に関する調査研究」の一般競争入札を掲載しているソース7。
ひとり親家庭支援の現状と課題
- ひとり親家庭に対する児童扶養手当、医療費助成制度、就学援助には所得制限があるソース5。
- 児童扶養手当は給与収入190万円で全部支給から一部支給に切り替わり、385万円で一部支給が停止されるソース5。
- ひとり親家庭の14.2%が支援制度を意識した収入抑制行動を行っているソース5。
- 児童扶養手当の所得制限の撤廃や、ひとり親家庭の就労支援の必要性について議論が求められているソース10。特に過疎地域では就業機会や資格取得の機会が限られている実情があるソース10。
💡 分析・洞察
- 要保護児童数が増加する一方で、児童養護施設の入所児童数が減少し、里親委託率は26.3%に留まっていることから、家庭的養護への移行方針と現場の実需との間に乖離が存在し、健全な養育環境の確保が追いついていない可能性が高い。
- 登録里親数が18,038世帯であるにもかかわらず、実際に委託を受けている里親世帯数が5,411世帯、委託児童数が6,637人に留まる事実は、里親を確保するだけでなく、その活用を促進する具体的支援が不足していることを示唆する。特に、共働き世帯への休暇制度の欠如は、潜在的な里親層の活用を妨げる経済的・制度的障壁となっている。
- 児童の委託理由で母の精神疾患等が上位を占めることは、児童の福祉問題が親の精神的健康や生活基盤の不安定さに深く根ざしていることを浮き彫りにし、根本的な課題解決には親への包括的な支援が不可欠である。
- ひとり親家庭の支援における所得制限は、自立に向けた経済的努力を阻害し、意図せざる収入抑制行動を誘発することで、結果的に国民の勤労意欲を減退させ、将来的な社会保障負担を増大させるリスクがある。
- こども家庭庁が児童福祉施設の業務継続計画(BCP)策定を推進している点は評価できるものの、自然災害やサイバー攻撃への対応が喫緊の課題として浮上している状況は、これまでの危機管理体制の脆弱性を露呈している。
⚠️ 課題・リスク
- 要保護児童数の継続的な増加と、家庭的養護(特に里親制度)の普及率の低迷は、児童が安定した家庭環境で成長する機会を奪い、将来的な社会適応能力の低下や精神的健康問題を抱えるリスクを高める。これは、将来の労働力人口の質を低下させ、社会保障費の増大という国民負担に直結する。
- 里親制度の拡大を阻む共働き世帯への支援不足は、我が国が推進する働き方改革と子育て支援政策の整合性を欠き、潜在的な里親資源を活用できないことで、児童保護体制全体の機能不全を招く可能性がある。
- ひとり親家庭への児童扶養手当等の所得制限による収入抑制行動は、保護者がより高収入を得るインセンティブを削ぎ、経済的自立を遅らせることで、生活保護など公的扶助への長期依存を助長し、国家財政への恒常的な負担を発生させる。
- 母の精神疾患等に起因する児童の社会的養護ニーズの高さは、児童保護の根本原因である親への予防的・包括的支援の不足を示しており、この問題に抜本的に対処しなければ、要保護児童の発生が継続し、公的資源の効率的な配分を妨げる。
- 児童福祉施設における業務継続計画(BCP)の未整備や不十分さは、大規模災害やサイバー攻撃等の有事において、施設が機能を喪失し、児童の生命・安全を脅かすだけでなく、その後の社会復帰を困難にし、国家としての危機管理能力への信頼失墜を招く。
主な情報源: 厚生労働省 / こども家庭庁

コメント