📊 事実
UKの労働市場と移民政策
- 2023年に英国の移民諮問委員会(MAC)によって短期職業リスト(SOL)の大規模なレビューが行われ、リストに追加すべき職業に関する提案が含まれているソース1。
- 2024年8月、英国の内務大臣はIT、通信、エンジニアリング分野の専門職に関する人材不足の原因、企業の対応、移民給与リストの影響、および国内労働力採用のための政策を検討するレビューを委託したソース2。
- Skills Englandの初のAnnual Skills Reportによると、イングランドの優先分野の需要は今後10年間で24%増加し、2035年までに180万人の追加労働者が必要と見込まれている。また、16歳から24歳の約100万人がNEET(教育、雇用、訓練に参加していない)であるソース8。
- 英国はOECD平均を下回る雇用保護と解雇保護を維持しており、雇用権利法2025に関する政策評価では国際投資への直接的影響はないとされているソース3。
- 2026年4月および5月には、英国の雇用、失業、非労働力、平均週給、求人に関する労働市場統計が推定されているソース4 ソース6。
日本の労働市場と外国人材政策
- 日本の生産年齢人口は減少しているものの、女性や高齢者の労働参加率の上昇により、就業者数は2020年の6,299万人から2025年には6,402万人へと増加すると推計されているソース7。
- 2025年の職業別有効求人倍率は、保安、建設・採掘、介護関係で特に人手不足の傾向が顕著であるソース7。
- 全国企業1,094社を対象とした2026年3月上旬から4月上旬の調査では、約6割の企業が人手不足を感じており、求人を出しても確保できていない企業も約6割に上る。最も不足している職種は「現場職」で約8割の企業が挙げているソース9。
- 日本政府は2026年4月13日付で特定技能1号の新たな受け入れを原則停止した。特定技能1号の受け入れ上限は2029年3月末までに80万人余りで、外食業界には5万人の枠がある。ファミリーレストラン大手のすかいらーくホールディングスやそばチェーンのゆで太郎システムは、外国人留学生を正社員にする計画が影響を受けているソース10。
- 外国人を雇用する事業主は、外国人労働者の雇入れ及び離職の際に、その氏名、在留資格などをハローワークに届け出ることが義務づけられている。特別永住者は届出の対象外であり、外国人労働者の雇用管理の改善は事業主の努力義務であるソース5。
- 日本では、有配偶者の就業調整をしている者が400万人を超え、その大半が年収50~99万円か100~149万円の収入帯に留まっている。約4割の第3号被保険者が就労しており、就業調整の理由として「106万円の壁」や「130万円の壁」が挙げられているソース7。
💡 分析・洞察
- 英国の不足職業リスト改訂は、国内の構造的な労働力不足を外部からの人材で補完しようとする現実主義的な政策であり、IT・エンジニアリング分野への注力は、高付加価値産業の競争力維持を意図していると洞察される。同時に、国内労働力の採用政策も検討していることから、単なる移民依存ではない中長期的な労働戦略を模索している。
- 英国が今後10年間で180万人の追加労働者を必要とする予測は、日本と同様に主要先進国が直面する高齢化と労働人口減少による共通の課題を鮮明に示している。これは、国際的な高スキル人材および特定の現場職種を巡る競争が激化し、各国がより積極的な人材獲得戦略を採ることを意味する。
- 日本政府が特定技能1号の新規受け入れを原則停止する一方で、国内では「保安」「建設・採掘」「介護関係」「現場職」といった基幹産業・サービス分野で深刻な人手不足が続いている事実は、政策と産業現場の需要との間に大きな乖離が生じていることを示唆する。この状況は、経済活動の停滞や生産性の低下を招きかねない。
⚠️ 課題・リスク
- 英国が不足職業リストを改訂し、高スキル人材や特定の現場職種の外国人材の受け入れを強化する政策を継続すれば、日本がこれらの分野で外国人材を獲得するための国際競争が激化し、日本の国益にとって不利に作用するリスクがある。優秀な人材の確保が困難になることで、日本の産業競争力やイノベーション能力が相対的に低下する懸念が生じる。
- 日本政府による特定技能1号の受け入れ原則停止が、外食産業をはじめとする特定の産業分野での人手不足を一層深刻化させ、企業の経営悪化や事業継続困難を引き起こす可能性がある。これは、国民生活を支えるサービス基盤の脆弱化を招き、治安維持や社会の安定性にも間接的な負の影響を及ぼしかねない。
- 国内の労働力供給を最大化するためには、女性や高齢者の就労を阻害する「106万円の壁」や「130万円の壁」といった社会保障制度上の障壁を早急に解消する必要がある。これを怠れば、外国人材への依存度が増大し、文化摩擦や社会インフラへの過度な負担が生じるか、国内産業の衰退を招くかの両義的なリスクに直面する。
- 外国人労働者の雇入れ・離職時の届出制度や、雇用管理の改善が事業主の努力義務に留まる現状は、国際的な人材獲得競争において日本の魅力を低下させるだけでなく、潜在的な労働トラブルや社会問題を引き起こす可能性がある。不適切な雇用環境は、外国人材の権利侵害や不法滞在問題に繋がり、日本の治安維持および伝統文化保護の観点からも望ましくない状況を招きうる。
主な情報源: MAC(英国移民諮問委員会) / 内閣官房 / 英国政府 / 朝日新聞 / 財務省note / 出入国在留管理庁

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