📊 事実
犯罪情勢の動向
- 刑法犯の認知件数は、令和4年から3年連続で増加しており、令和6年には新型コロナウイルス感染症感染拡大前の令和元年の98.5%の水準に達した ソース1 。
- 少年による刑法犯の検挙人員は、令和元年よりも13.8%増加した ソース1 。
- 児童虐待に係る事件、ストーカー規制法違反、サイバー犯罪、特殊詐欺、大麻取締法違反等の個別の犯罪において、検挙件数が増加傾向にある ソース1 。
- 人が被害者となった刑法犯の認知件数は、令和4年以降増加している ソース1 。
- 昨年の刑法犯認知件数は、戦後最少の令和3年から3年連続で増加した ソース10 。
- 財産犯の被害額は4,000億円を超え、刑法犯認知件数が過去最悪であった平成14年当時の被害額を上回る ソース10 。
- 昨年の詐欺の被害額は3,000億円を上回った ソース10 。
- 匿名・流動型犯罪グループが凶悪な手口による強盗事件、特殊詐欺、SNS型投資・ロマンス詐欺、金属盗等の組織的窃盗、悪質ホストクラブ事犯等に関与しており、SNSが犯罪インフラとして悪用されている ソース10 。
犯罪被害者支援の現状と法制度
- 法務省は平成16年に犯罪被害者等基本法を制定し、令和3年3月には第4次犯罪被害者等基本計画が策定された ソース1 ソース5 。
- 令和7年6月1日に、懲役及び禁錮を廃止し、拘禁刑を創設する刑法等の一部を改正する法律(令和4年法律第67号)が施行された。これは明治40年の刑法制定以来の刑の種類変更であり、拘禁刑の目的は受刑者の改善更生にあることが明記された ソース1 。
- 警察庁は、地方公共団体における犯罪被害者等支援を促進しており、令和7年4月1日現在、全ての都道府県、18政令指定都市、1,083市区町村において、犯罪被害者等支援を目的とした条例等が制定されている ソース3 。
- 犯罪被害給付制度について、警察庁は関係府省庁と協力し、算定方法の見直しによる給付水準の大幅な引上げや仮給付制度の運用改善に関して1年以内をめどに結論を出す検討を行っている ソース6 。
- 法務省は犯罪被害者等支援弁護士制度の導入について、犯罪被害者等が弁護士による支援及び経済的援助を受けられるよう、1年以内をめどに結論を出す具体的検討を行っている ソース6 。
- 国家公安委員会・警察庁は犯罪被害者等施策の推進に関して司令塔として総合的な調整を行い、関係府省庁連絡会議で進捗状況を点検・検証・評価する ソース6 。
- 地方における途切れない支援体制構築に向けて、国による人材面・財政面での支援を含め、1年以内をめどに結論を出す検討が行われている ソース6 。
- 医療・生活・教育・納税の各分野における社会保障・社会福祉等制度について、関係府省庁は犯罪被害者等に配慮した取扱いを行うよう要請する ソース6 。
- 犯罪被害者等に対するカウンセリングの保険適用改善について、中央社会保険医療協議会は令和6年度診療報酬改定に向けた議論を行っている ソース6 。
犯罪白書・犯罪被害者白書の内容と調査
- 令和7年版犯罪白書は「犯罪被害の実態(犯罪被害の暗数と精神障害を有する者等の性犯罪被害)」と題して特集を組み、犯罪被害の実態等に関して総合的に考察し、犯罪被害者等の支援の在り方等について留意すべき点の検討を行った ソース1 ソース2 ソース4 。
- 法務省は、性犯罪被害者、障害者等の犯罪被害者の特性に応じた被害実態の調査・分析を実施する方向で検討を行うこととされた ソース1 。
- 法務総合研究所は、令和5年に精神障害を有する者の性犯罪被害の実態を明らかにするため刑事事件の確定記録調査を実施し、令和6年には一般国民を対象とした犯罪被害実態(暗数)調査を実施した ソース1 。
- 令和7年版警察白書は、第1部で「SNSを取り巻く犯罪と警察の取組」と題する特集を組み、SNSを悪用した犯罪の現状とその対策を紹介している ソース10 。
再犯防止とデジタル化
- 法務省は受刑者等の情報をデジタル化し、一元的管理を推進することで矯正行政の効率化を図っており、令和6年度から全国の矯正施設で矯正処遇・再犯防止業務支援システムを運用している ソース7 。
- 法務省は平成29年から検察庁、矯正施設、更生保護官署が保有する情報を一元的に管理・共有するためのデータ連携基盤である刑事情報連携データベースシステム(SCRP)を運用している ソース7 。
- 法務省はエビデンスに基づく再犯防止施策の推進に向けて効果検証を行っており、令和7年4月には保護局観察課に効果検証室を設置する予定である ソース7 。
- 再犯防止分野では、保護司、篤志面接委員、教誨師、更生保護女性会員等の多くの民間協力者が活動しているが、社会での認知度が低く、多くの企業は参画を検討できていない ソース9 。
- 犯罪をした者等と関わることへの漠然とした不安等により、再犯防止分野への協力には心理的なハードルが高い現状がある ソース9 。
- 国や地方公共団体は、再犯防止分野について積極的に情報発信し、関心を持った企業や市民が参画しやすい環境を整備することが重要である ソース9 。
💡 分析・洞察
- 犯罪被害者白書は、増加傾向にある刑法犯認知件数と多様化する犯罪手口(特にサイバー犯罪、特殊詐欺、SNS悪用)の実態を詳細に分析し、国民の治安に対する懸念を具体的に可視化する役割を担っている。
- 犯罪被害者支援に関する法制度や地方公共団体での条例制定が進む一方で、給付制度の改善や弁護士支援制度の導入、地方での支援体制強化など、具体的な運用面での課題解決に向けた検討が進行中であり、これらの進捗が国民の安心感に直結する。
- 拘禁刑の創設やデジタル化による矯正・再犯防止業務の効率化は、犯罪者の改善更生と再犯防止に資するが、その効果検証と民間協力者の裾野拡大が持続的な治安維持の鍵となる。
⚠️ 課題・リスク
- 刑法犯認知件数の増加と財産犯被害額の過去最悪水準への到達は、国民の財産と安全に対する直接的な脅威であり、経済活動への悪影響や社会不安の増大を招くリスクがある。
- 少年による刑法犯検挙人員の増加は、将来的な犯罪者人口の増加に繋がり、社会の治安維持コストを増大させる可能性を孕んでいる。
- 犯罪被害者支援制度の運用改善や地方での支援体制構築が遅延した場合、被害者が適切な支援を受けられず、二次被害や社会からの孤立を深めることで、社会全体の連帯感や信頼が損なわれる恐れがある。
- 再犯防止分野における民間協力者の認知度不足と心理的ハードルの高さは、地域社会による犯罪者の包摂を阻害し、再犯率の低減に向けた取り組みの効果を限定的にする。
主な情報源: 警察庁 / 法務省

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