📊 事実
気候変動の影響と適応策の検討体制
- 気候変動の影響に対処するため、温室効果ガス排出抑制だけでなく適応を進めることが求められている ソース4 。
- IPCCの第6次評価報告書は、人間活動が主に温室効果ガスの排出を通して地球温暖化を引き起こしてきたこと、地球温暖化が継続すると世界の水循環が強まると予測している ソース10 。
- 我が国では、地球温暖化による年間無降水日数の増加や年間最深積雪の減少が予測されている ソース10 。
- 2050年ネット・ゼロ実現に向けて気候変動対策を推進し、気温上昇を1.5℃程度に抑えられたとしても、極端な高温現象や大雨等の発生リスクは増加すると予測されている ソース9 。
- 令和7年度には記録的な少雨により渇水が発生した ソース2 ソース3 。
- 国土交通省は、令和8年4月17日に「水資源分野における気候変動への適応策のあり方検討会」を東京都千代田区霞が関の中央合同庁舎第3号館2階 水管理・国土保全局局議室でweb形式で開催する ソース2 ソース3 。
- この検討会の議事予定は「気候変動による水資源への影響評価手法について」である ソース2 ソース3 。
- 検討会の委員名簿には大谷武彦、沖大幹、滝沢智、立川康人、田中賢治、仲江川敏之、松岡賢が含まれる ソース1 。
- 令和7年6月には国土審議会水資源開発分科会および社会資本整備審議会河川分科会による答申「流域総合水管理のあり方について」が示された ソース2 ソース3 。
- 気候変動適応法は平成30年6月13日に公布され、同年12月1日に施行された ソース9 。2023年4月に気候変動適応法が改正された ソース4 。
- 2018年11月に「気候変動適応計画」が閣議決定され、2021年10月、2023年5月にその変更が閣議決定された ソース4 。令和6年4月には「気候変動適応計画」の一部変更が全面施行された ソース9 。
- 2022年6月に第6回会合が開催され、「気候変動適応計画」の施策の進捗管理方法が確認された ソース4 。
- 令和6年10月に適応計画のフォローアップ報告書が公表され、令和5年度に実施した施策のフォローアップが行われた ソース6 ソース9 。
- 2020年12月に「気候変動影響評価報告書」が公表され、2015年の意見具申より約2.5倍の文献を引用し、複合的な災害影響や影響の連鎖について記載されている ソース4 ソース9 。
- 2025年度に次期気候変動影響評価が予定されている ソース4 。
- 水資源機構は「安全で良質な水の安定した供給」と「洪水被害の防止・軽減」を主たる役割とし、気候変動適応計画に基づき、渇水対応の手順を明らかにする「渇水対応タイムライン」の策定に参画する ソース8 。
- 水資源機構は、各年度の補給日数割合を100%、洪水調節適正実施割合を100%目指している ソース8 。
- 水資源機構は、国土交通省が指定する利根川・荒川水系、豊川水系、木曽川水系、淀川水系、吉野川水系、筑後川水系などの水資源開発水系において水資源の開発を行う ソース8 。
水資源管理・防災に関する適応策
- 手取川水系、那賀川水系、利根川水系、太田川水系、遠賀川水系、荒川水系、留萌川水系、富士川水系及び筑後川水系では、気候変動による降雨量の増加の影響を考慮した河川整備基本方針の変更が行われた ソース6 。
- 気候変動に伴う降雨量の増加や短時間豪雨の頻発等を踏まえ、浸水対策が推進されている ソース6 。
- 農業用水の安定供給を図るため、水管理システムの更新や水路のパイプライン化が行われている ソース6 。
- 防災重点農業用ため池の防災工事が推進されている ソース6 。
- 地域コミュニティ機能の発揮や水田の一時貯留機能を向上するための田んぼダムの取組が推進されている ソース6 。
- 将来の降雨予測に基づく計画策定手法が令和7年3月に決定された ソース6 。
- 流域治水の取組と連携しつつ森林整備や治山施設の設置が行われている ソース6 。
- ダムの弾力的管理として、洪水調節に支障を及ぼさない範囲で洪水調節容量の一部に流水を貯留し、適切に放流する運用が行われた ソース10 。
- 令和6年能登半島地震による被害を踏まえ、上下水道地震対策検討委員会で今後の地震対策の在り方について議論が行われた ソース6 。
- 農林水産分野の気候変動への適応策は「みどりの食料システム戦略」に基づき、2023年に「農林水産省気候変動適応計画」が最終改定された ソース4 。
- 2023年3月に「地域気候変動適応計画策定マニュアル」が改訂され、地域の課題に応じた広域アクションプランが策定・公開された ソース4 。
- 2020年より「気候変動による災害激甚化に係る適応の強化事業」が開始され、2023年7月に気候変動による災害激甚化に関する予測結果が公表された ソース4 。
- 令和2年6月に「気候危機時代の『気候変動×防災』戦略」が公表され、令和3年10月に改定した適応計画に気候変動対策と防災・減災対策が盛り込まれた ソース9 。
- 令和6年3月に「できることから始める『気候変動×防災』実践マニュアル」が公表され、令和6年度に気候変動適応広域協議会においてマニュアルを紹介する予定である ソース9 。
- 熱中症対策に関する改正法が2023年5月に公布され、同月に熱中症対策実行計画の策定と適応計画の一部変更が閣議決定された ソース4 。
- 熱中症による死亡者数を2030年までに半減することが中期的な目標として位置付けられた ソース4 。
- 災害時の避難生活や片付け作業における熱中症対策に関するリーフレットが令和3年3月に作成され、令和5年5月に改訂された ソース9 。
再生可能エネルギー・脱炭素化に関する適応策
- 2050年カーボンニュートラルを目指し、水循環政策における再生可能エネルギーの導入促進を図るための数値目標及びロードマップが策定された ソース10 。
- 国土交通省は、ハイブリッドダムの取組における既設ダムへの水力発電設備設置・運営事業に係る事業者公募の手引きを公表し、国土交通省管理の3ダムにおいて発電施設の新増設について公募を開始した ソース6 。
- AIを活用したダムの流入量予測の活用に向けた検討が進められた ソース6 。
- 筑後川水系の松原ダム・下筌ダムにて揚水発電の導入可能性について検討が始まった ソース6 。
- 水力発電増強に関する実施事例を収集し、事業者向けの事例集が作成された ソース6 。
- 小水力発電の導入を推進するため、従属発電について許可制から登録制に変更し、プロジェクト形成支援のため地方整備局や事務所に現場窓口が設置され、地方公共団体や土地改良区等に対し補助事業等が実施されている ソース6 。
- 中小水力発電について、流量調査等への支援やFIT/FIP制度を通じて導入促進が図られている ソース6 。
- 下水処理水の放流時における落差を活用した小水力発電や農業用水を利用した小水力発電について支援や検討・実証が行われている ソース6 。
- 水道専用ダムを含む水道施設における小水力発電等の地域共生型再生可能エネルギーについて支援が行われた ソース10 。
- 水力発電開発を促進させるため、既存ダムの未開発地点におけるポテンシャル調査のフォローアップが実施された ソース10 。
- 水道施設における太陽光発電の導入促進のため、財政支援が行われている ソース6 。
- 令和4年度に整理した技術的要件を基に、農業用ため池における水上設置型太陽光発電設備の設置ポテンシャルの算定が行われ、導入支援が行われている ソース6 。
- ダムにおける水上太陽光発電の設置ポテンシャル推計の検討が進められ、電力事業者が保有する発電用ダムや治水等多目的ダムにおける設置ポテンシャルの算定や実証実験施設の設計が行われた ソース6 。
- 下水道脱炭素化推進事業を通じて、下水道バイオマスを活用したバイオガス発電や下水汚泥の高温焼却等による一酸化二窒素の削減に必要な施設整備に対する支援が行われた ソース6 。
- 令和5年度に創設した下水道温室効果ガス削減推進モデル事業を通じて、温室効果ガス削減に必要な運転方法の変更のための計測機器・制御装置の設置に対する支援が行われた ソース6 。
- 農林水産省と国土交通省は令和4年12月に下水汚泥資源の肥料利用の拡大に向けた官民検討会を共同で開催し、令和5年3月に下水汚泥の処理において肥料としての利用を最優先する基本方針を明確化した ソース6 。
- 令和6年度には肥料化施設の整備や検討に対する補助事業を創設することが計画され、下水汚泥の重金属や肥料成分の分析が35処理場で、肥料の流通確保に向けた案件形成が19団体で行われる予定である ソース6 。
- 5つの地方公共団体の下水道施設において、下水処理過程からのリン回収に関する技術実証が行われている ソース6 。
- 上下水道における省エネルギー・再生可能エネルギー導入の中で、施設の広域化・統廃合・再配置による省エネルギー化の推進が盛り込まれている ソース6 。
- 上水道システムにおけるエネルギー消費量・二酸化炭素排出量を削減するため、水インフラにおける脱炭素化推進事業による財政支援が行われている ソース6 。
- 農業水利施設における省エネルギーを推進するため、老朽した施設の更新時に省エネルギー施設の整備に対する支援が行われている ソース6 。
- 農業集落排水施設から排出される処理水の農業用水としての再利用や汚泥の肥料化等による農地還元が図られている ソース6 。
- 既設の中・大型浄化槽に付帯する機械設備の省エネ改修や古い既設合併処理浄化槽の交換が推進されている ソース6 。
- 循環型社会形成推進交付金により、浄化槽の整備が支援された ソース10 。
- 地下水・地盤環境の保全に留意しつつ地中熱利用の普及が促進されている ソース6 。
- 豪雪地帯において雪冷熱エネルギーの普及に向けた取組の調査が行われている ソース6 。
- 2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、森林・林業基本計画に基づき間伐や再造林などの森林の適正な整備が推進されている ソース6 。
水環境・生態系保全に関する適応策
- 瀬戸内海関係府県の栄養塩類管理計画の策定に対し補助による支援が行われた ソース10 。
- 環境技術実証事業が実施され、湖沼や閉鎖性海域における水質浄化技術が対象とされた ソース10 。
- 下水道革新的技術実証事業において、既存最初沈殿池を高効率エネルギー回収型沈殿池へ改良し、省エネ型深槽曝気技術について下水道施設での実証が行われた ソース10 。
- 地域共同で取り組む水環境の保全に係る活動に対して支援が行われ、令和6年度良好な環境創出活動推進モデル事業が実施され、令和6年12月に良好な環境創出シンポジウムが開催された ソース10 。
- 皇居外苑濠水環境改善計画を見直し、令和6年6月に皇居外苑濠環境保全計画が策定された ソース10 。
- 農業水利施設の保全管理又は整備と一体的に親水施設の整備が行われた ソース10 。
- 新世代下水道支援事業制度により、再生水の多元的な利用拡大に向けて財政支援が行われた ソース10 。
- 生態系を活用した防災・減災の推進のため、令和5年3月に生態系保全・再生ポテンシャルマップの作成・活用方法を示した手引きが作成された ソース10 。
- 自然再生事業が実施され、地方公共団体が行う自然再生事業が自然環境整備交付金により支援された ソース10 。
- 農業農村整備事業において、農村地域における生態系ネットワークの保全・回復が行われた ソース10 。
- 河川・湖沼・ため池等における外来種対策として、特定外来生物の防除等が実施され、令和5年4月に施行した改正外来生物法により、特定外来生物防除等対策事業で地方公共団体の防除事業が支援された ソース10 。
- 令和5年度から328か所を自然共生サイトとして認定した ソース10 。
- 河川管理を行う多自然川づくりが推進された ソース10 。
- 河川環境保全モニターが委嘱され、河川環境の保全・創出に関する業務が行われた ソース10 。
- 「つなげよう、支えよう森里川海プロジェクト」が立ち上げられた ソース10 。
調査・研究・情報提供・人材育成に関する適応策
- 2016年に「気候変動適応情報プラットフォーム(A-PLAT)」が構築され、国立研究開発法人国立環境研究所が運営し、気候変動影響に関する予測情報や適応に関する計画、具体的な取組事例を紹介している ソース4 。
- 2024年3月に「気候変動リスク分析情報サイト」がA-PLAT上に公開される予定である ソース4 。
- 2019年6月にG20関係閣僚会合でAP-PLATが立ち上げられ、アジア太平洋地域で適応に関する二国間協力が行われている ソース4 。
- 2021年9月に気候変動リスク産官学連携ネットワークが立ち上げられた ソース4 。
- 環境省は2019年3月に「民間企業の気候変動適応ガイド」を公開し、2022年3月に改訂した ソース4 。
- 水循環施策を進めるために、水循環に関する調査の実施や体制の整備が必要である ソース5 。
- 「水質汚濁防止法」等に基づき、公共用水域等の水質汚濁の状況が調査され、その結果がウェブサイトに公表された ソース5 。
- 農業用水取水施設の概要、取水量、利活用状況等の調査が行われた ソース5 。
- 生活用水、工業用水、農業用水等の利用量、水資源開発の現状、地下水や雨水・再生水等の利用状況、渇水の発生状況等の調査が実施され、「日本の水資源の現況」としてウェブサイトに公表された ソース5 。
- 全国を対象とした淡水魚類分布調査が令和4年度から実施され、令和7年度までの予定である ソース5 ソース10 。
- 水生昆虫を含む昆虫類分布調査が令和5年度から実施され、令和8年度までの予定である ソース5 ソース10 。
- 「モニタリングサイト1000」により、湖沼・湿原、沿岸域及びサンゴ礁生態系に設置された約300か所の調査サイトでモニタリング調査が行われた ソース5 ソース10 。
- 「工業用水法」に基づく指定地域における地下水位の観測が継続的に実施されている ソース5 。
- 地盤沈下が発生している濃尾平野、筑後・佐賀平野及び関東平野北部の3地域において、地盤沈下防止等対策要綱に基づく取組が行われている ソース5 。
- 「地下水データベース」の運用及び普及が進められ、全国の地盤沈下に関する測量情報が「全国の地盤沈下地域の概況」として公表された ソース5 。
- 令和6年度に雨水・再生水利用施設実態調査が継続的に実施された ソース5 。
- 国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所が北海道から九州にかけての12か所の森林理水試験地において観測されたデータを公開した ソース5 。
- 国土技術政策総合研究所が福井県大野盆地を対象に気候変動による地下水位への影響の試算を行い、全国版d4PDFダウンスケーリングデータを開発した ソース5 。
- 「日本の気候変動2025」報告書が令和7年3月に公表された ソース5 。
- 気象庁が異常気象分析検討会を運営し、令和6年9月に顕著な高温と大雨について分析を行った ソース5 。
- 国立研究開発法人土木研究所が気候変動に伴う流量変化等が河川水質に及ぼす影響の研究を継続している ソース5 。
- 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構が農業用ダムの事前放流による出水時の最大流出量の軽減効果を明らかにし、水路の水位や氾濫をリアルタイムで予測するモデルを開発した ソース5 。
- 「地球環境データ統合・解析プラットフォーム事業」において、気候変動、防災等の研究開発が進められている ソース5 。
- 全国河川の水質モニタリング等が実施・公表され、琵琶湖において水質管理手法検討会が令和6年度に2回開催される予定である ソース6 。
- 健全な水循環に関する教育が推進され、学校教育での教材活用、水循環教育スキルアップ講座、全国巡回展示、水道啓発セミナー、地域・民間による自主的な教育活動、法令・施策研修が行われた ソース6 。
- 気象防災アドバイザーが全国各地に配置され、地域偏在が解消された ソース6 。
- 第4回アジア・太平洋水サミットを契機に人材育成・啓発プログラムが実施され、工業用水道事業に関わる地方公共団体等の職員に対する研修が実施された ソース6 。
- 河川水辺の国勢調査により、生物の生息・生育・繁殖状況等について定期的かつ継続的に調査を実施した ソース10 。
- いきものログを引き続き運用し、全国の生物情報の収集及び共有を図った ソース10 。
- 自然系調査研究機関連絡会議を開催し、構成機関相互の情報交換・共有を促進した ソース10 。
- 令和7年2月にEAAFP渡り性水鳥フライウェイ全国大会を佐賀県東よか干潟にて開催した ソース10 。
- 日豪、日中及び日韓の二国間の渡り鳥保護協定に基づく会議に向けて、令和6年12月に国内専門家による準備会議を開催した ソース10 。
- 平成28年4月に公表した生物多様性の観点から重要度の高い湿地について、普及啓発を行った ソース10 。
- 第9回水辺からはじまる生態系ネットワーク全国フォーラムを令和7年1月に開催した ソース10 。
- 自然再生推進法に基づき、地域主導の自然再生の取組について技術的支援が行われた ソース10 。
💡 分析・洞察
- 気候変動による水資源への影響(渇水、大雨、水循環の変化)が顕在化しており、これに対応するための多角的な適応策が国レベルで推進されている。
- 適応策は、水資源の安定供給、洪水被害の防止・軽減といった直接的な防災対策に加え、再生可能エネルギーの導入、水質・生態系保全、情報基盤の整備、人材育成といった幅広い分野に及んでいる。
- 特に、ダムの多目的利用(治水、発電、水上太陽光)、下水汚泥の肥料化、小水力発電の推進など、既存インフラの有効活用と資源循環を重視した取り組みが目立つ。
- AIや予測モデルなどの先端技術の導入検討、官民連携、地域との協働が重視されており、科学的知見に基づいた計画策定と情報共有が進められている。
⚠️ 課題・リスク
- 記録的な少雨による渇水や極端な高温現象・大雨等の発生リスク増加が予測されており、これらの気候変動の影響の激甚化が水資源管理における最大の課題である。
- 多岐にわたる適応策の実効性を確保するためには、計画の着実な実施と継続的なフォローアップが不可欠である。
- 地方公共団体や事業者、地域住民など、多様な関係者の理解と協力を得ながら、広域的かつ地域の実情に応じた適応策を推進していく必要がある。
- 水資源開発施設の安定供給と洪水調節の100%達成目標は高い目標であり、気候変動の影響が強まる中でその達成には継続的な努力と対策強化が求められる。
主な情報源: 総務省 / 国土交通省 / 内閣府 / 環境省 / 内閣官房

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