📊 事実
気候変動適応策の検討と計画
- 国土交通省は、令和8年4月17日に「水資源分野における気候変動への適応策のあり方検討会」を開催し、気候変動による水資源への影響評価手法について議論を行う予定である ソース2 ソース3 。
- この検討会には、大谷武彦、沖大幹、滝沢智、立川康人、田中賢治、仲江川敏之、松岡賢といった委員が参加する ソース1 。
- 令和7年度には記録的な少雨により渇水が発生した ソース2 ソース3 。
- 国土審議会水資源開発分科会および社会資本整備審議会河川分科会による答申「流域総合水管理のあり方について」が令和7年6月に示された ソース2 ソース3 。
- 政府は「気候変動の影響への適応計画」を閣議決定しており、気候変動適応法は2018年6月に成立し、同年12月に施行された ソース10 。
- 2023年4月には気候変動適応法が改正され、同年5月には熱中症対策実行計画の策定と適応計画の一部変更が閣議決定された ソース10 。
- 熱中症による死亡者数を2030年までに半減することが中期的な目標として位置付けられている ソース10 。
- 水資源機構は、気候変動適応計画に基づき、渇水対応の手順を明らかにする「渇水対応タイムライン」の策定に参画する ソース9 。
- 手取川水系、那賀川水系、利根川水系、太田川水系、遠賀川水系、荒川水系、留萌川水系、富士川水系及び筑後川水系では、気候変動による降雨量の増加の影響を考慮した河川整備基本方針の変更が行われた ソース5 。
- 将来の降雨予測に基づく計画策定手法が令和7年3月に決定された ソース5 。
水資源管理とインフラの適応策
- 国土交通省は、ハイブリッドダムの取組として、既設ダムへの水力発電設備設置・運営事業に係る事業者公募の手引きを公表し、国土交通省管理の3ダムにおいて発電施設の新増設について公募を開始した ソース5 。
- AIを活用したダムの流入量予測の活用に向けた検討が進められた ソース5 。
- 筑後川水系の松原ダム・下筌ダムにて揚水発電の導入可能性について検討が始まった ソース5 。
- 農業用ダムの事前放流による出水時の最大流出量の軽減効果が明らかにされた ソース4 。
- 洪水調節に支障を及ぼさない範囲で洪水調節容量の一部に流水を貯留し、適切に放流するダムの弾力的管理が行われた ソース6 。
- ダム上流における堆砂を必要に応じて下流河川に補給する土砂還元に努めた ソース6 。
- 気候変動に伴う降雨量の増加や短時間豪雨の頻発等を踏まえ、浸水対策が推進されている ソース5 。
- 防災重点農業用ため池の防災工事が推進されている ソース5 。
- 地域コミュニティ機能の発揮や水田の一時貯留機能を向上するための田んぼダムの取組が推進されている ソース5 。
- 農業用水の安定供給を図るため、水管理システムの更新や水路のパイプライン化が行われている ソース5 。
- 令和6年能登半島地震による被害を踏まえ、上下水道地震対策検討委員会で今後の地震対策の在り方について議論が行われた ソース5 。
再生可能エネルギーと資源循環の推進
- 小水力発電の導入を推進するため、従属発電について許可制から登録制に変更し、プロジェクト形成支援のため地方整備局や事務所に現場窓口を設置した ソース5 。
- 農業水利施設を活用した小水力発電の導入を支援するため、地方公共団体や土地改良区等に対し補助事業等を実施している ソース5 。
- 下水処理水の放流時における落差を活用した小水力発電や、農業用水を利用した小水力発電について、配水過程で生じる余剰圧を活用した検討・実証が行われている ソース5 。
- 水道施設における太陽光発電の導入促進のため、財政支援が行われている ソース5 。
- 農業用ため池、ダム、治水等多目的ダムにおける水上太陽光発電の設置ポテンシャル推計の検討や実証実験施設の設計が進められている ソース5 。
- 下水道脱炭素化推進事業を通じて、下水道バイオマスを活用したバイオガス発電や下水汚泥の高温焼却等による一酸化二窒素の削減に必要な施設整備に対する支援が行われた ソース5 。
- 農林水産省と国土交通省は令和4年12月に下水汚泥資源の肥料利用の拡大に向けた官民検討会を共同で開催し、令和5年3月には下水汚泥の処理において肥料としての利用を最優先とする基本方針を明確化した ソース5 。
- 令和6年度には肥料化施設の整備や検討に対する補助事業を創設することが計画されており、下水汚泥の重金属や肥料成分の分析が35処理場で、肥料の流通確保に向けた案件形成が19団体で行われる予定である ソース5 。
- 5つの地方公共団体の下水道施設において、下水処理過程からのリン回収に関する技術実証が行われている ソース5 。
- 上下水道における施設の広域化・統廃合・再配置による省エネルギー化が推進されている ソース5 。
- 地下水・地盤環境の保全に留意しつつ地中熱利用の普及が促進されている ソース5 。
- 豪雪地帯において雪冷熱エネルギーの普及に向けた取組の調査が行われている ソース5 。
- 2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、水循環政策における再生可能エネルギーの導入促進を図るための数値目標及びロードマップが策定された ソース6 。
水質保全と生態系を活用した解決策
- 下水中のウイルス濃度を調査し、地域の感染状況の把握に活用する取組として「新型コロナウイルスの広域監視に活用するための下水サーベイランスガイドライン(案)」が令和6年6月に公表された ソース4 。
- 「下水道革新的技術実証事業」において、下水中の感染症関連タンパク質のリアルタイム追跡が行われた ソース4 。
- 「水質汚濁防止法」等に基づき、公共用水域等の水質汚濁の状況が調査され、その結果がウェブサイトに公表された ソース4 。
- 国立研究開発法人土木研究所が気候変動に伴う流量変化等が河川水質に及ぼす影響の研究を継続している ソース4 。
- 琵琶湖において水質管理手法検討会が令和6年度に2回開催される予定である ソース5 。
- 瀬戸内海関係府県の栄養塩類管理計画の策定に対し補助による支援が行われた ソース6 。
- 環境技術実証事業を実施し、湖沼や閉鎖性海域における水質浄化技術を対象とした ソース6 。
- 「グリーンインフラ大賞」では優れた取組事例を表彰し、事例集を公開した ソース4 。
- 令和6年度に「地方公共団体による先駆的取組」や「海外事例にみるグリーンインフラ技術等の本質」をテーマとしたオンラインセミナーが月に1回開催された ソース4 。
- 生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR)等の自然を活用した解決策(NbS)が推進されている ソース8 。
- 生態系保全・再生ポテンシャルマップの作成・活用方法を示した手引きが令和5年3月に作成された ソース6 。
- 令和5年度から328か所を自然共生サイトとして認定した ソース6 。
- 「つなげよう、支えよう森里川海プロジェクト」が立ち上げられた ソース6 。
水資源の調査・監視と情報提供
- 生活用水、工業用水、農業用水等の利用量、水資源開発の現状、地下水や雨水・再生水等の利用状況、渇水の発生状況等の調査が実施され、「日本の水資源の現況」としてウェブサイトに公表された ソース4 。
- 全国を対象とした淡水魚類分布調査が令和4年度から令和7年度まで、水生昆虫を含む昆虫類分布調査が令和5年度から令和8年度まで実施されている ソース4 ソース6 。
- 「モニタリングサイト1000」により、湖沼・湿原、沿岸域及びサンゴ礁生態系に設置された約300か所の調査サイトでモニタリング調査が行われている ソース4 ソース6 。
- 「地下水データベース」の運用及び普及が進められている ソース4 。
- 国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所が北海道から九州にかけての12か所の森林理水試験地において観測されたデータを公開した ソース4 。
- 国土技術政策総合研究所が福井県大野盆地を対象に気候変動による地下水位への影響の試算を行い、全国版d4PDFダウンスケーリングデータを開発した ソース4 。
- 「日本の気候変動2025」報告書が令和7年3月に公表された ソース4 。
- 気象庁が異常気象分析検討会を運営し、令和6年9月に顕著な高温と大雨について分析を行った ソース4 。
- 「気候変動適応情報プラットフォーム(A-PLAT)」が2016年に構築され、国立研究開発法人国立環境研究所が運営しており、気候変動影響に関する予測情報や適応に関する計画、具体的な取組事例を紹介している ソース10 。
- 2024年3月に「気候変動リスク分析情報サイト」がA-PLAT上に公開される予定である ソース10 。
関係機関の役割と連携
- 水資源機構は「安全で良質な水の安定した供給」と「洪水被害の防止・軽減」を主たる役割とし、年間を通じて各利水者に対し安全で良質な水の安定供給を行う ソース9 。
- 水資源機構は、国からの運営費交付金によらず、各種用水の利水者負担金等で運営している ソース9 。
- 水資源機構は、災害対策基本法に基づく指定公共機関に指定されており、国土交通省が指定する水資源開発水系(利根川・荒川水系、豊川水系、木曽川水系、淀川水系、吉野川水系、筑後川水系)において水資源の開発を行う ソース9 。
- 地方公共団体は、小水力発電の導入支援、下水道脱炭素化推進事業、下水道温室効果ガス削減推進モデル事業、肥料化施設の整備補助事業、自然再生事業、特定外来生物防除等対策事業などを実施している ソース5 ソース6 。
- 事業者は、ハイブリッドダムの発電施設新増設公募への参加、水力発電増強に関する事例集の活用、電力事業者が保有する発電用ダムにおける水上太陽光発電の設置ポテンシャル算定などに関与している ソース5 。
- 企業は、気候変動が事業に及ぼすリスクを理解し、適応を推進することが重要であり、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に基づき、気候リスクを開示することが増えている ソース10 。
- 環境省は2019年3月に「民間企業の気候変動適応ガイド」を公開し、2022年3月に改訂した ソース10 。
- 気候変動リスク産官学連携ネットワークが2021年9月に立ち上げられた ソース10 。
- 国民運動「デコ活」が脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創ることを目指している ソース8 。
- 健全な水循環に関する教育が推進され、学校教育での教材活用、スキルアップ講座、パネル・映像展示、水道啓発セミナー、地域や民間による自主的な教育活動が行われている ソース5 。
- 気象防災アドバイザーが全国各地に配置され、地域偏在が解消された ソース5 。
💡 分析・洞察
気候変動に対する水資源管理は、多角的なアプローチで推進されていると言える。特に、ダムの多機能化(ハイブリッドダム、AI活用、揚水発電)や再生可能エネルギー(小水力、水上太陽光、バイオガス、地中熱、雪冷熱)の導入促進は、水資源の有効活用と脱炭素化を両立させる重要な適応策である。また、渇水や豪雨といった気候変動の影響が顕在化していることを受け、「渇水対応タイムライン」の策定や河川整備基本方針の見直し、浸水対策の推進など、災害リスクへの備えが強化されている。さらに、下水サーベイランスやリン回収といった水質保全・資源循環技術の導入、グリーンインフラや自然共生サイトを通じた生態系を活用した解決策(NbS)の推進は、持続可能な水資源管理に向けた新たな方向性を示している。これらの取り組みは、政府機関、地方公共団体、事業者、研究機関、そして地域コミュニティがそれぞれの役割を担い、情報共有や連携を強化しながら進められている。
⚠️ 課題・リスク
現状から、気候変動による水資源への影響評価手法の確立と、それに基づく具体的な適応策の継続的な検討と実施が喫緊の課題である。令和7年度に記録的な少雨による渇水が発生したことや、地球温暖化による年間無降水日数の増加や年間最深積雪の減少が予測されていることから、水資源の安定供給に対するリスクは高まっている。また、気候変動に伴う降雨量の増加や短時間豪雨の頻発は、浸水被害の激甚化を招く可能性があり、既存のインフラだけでは対応しきれない事態も懸念される。水循環施策を進めるための調査実施や体制整備も引き続き必要であり、多様な関係者間の連携をさらに強化し、地域の実情に応じた適応策を効果的に展開していくことが求められる。
主な情報源: 総務省 / 国土交通省 / 内閣官房 / 環境省

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