📊 事実
移民による財政貢献の全体像
- 2022/23年度にスキルドワーカー(SW)ビザで入国した移民の生涯にわたる正の財政貢献は、全体で約470億ポンドと推定される ソース4 。
- 同年度の移民コホート329,200人は、生涯で約471億ポンドの純貢献を見込んでいる ソース8 。
- SWビザの主申請者は1人当たり£40,300の正の財政的利益をもたらすが、子供は£14,900の負の影響を与える ソース6 。
- 2022/23年度のイギリス居住者の平均税負担は£25,600であるのに対し、SWビザ保持者は£32,700の税負担をしており、平均を上回る ソース5 。
- 生涯財政貢献において、SW(H&C除く)主申請者は平均+£689,000、H&C(健康・介護)主申請者は+£54,000である一方、イギリス住民全体の平均は-£39,000(中央値-£145,000)である ソース7 。
公共支出とサービス利用の現状
- 2022/23年度の公共支出の31%が移民に関連していると示されている ソース3 。
- 移民は、無期限の滞在許可(ILR)を取得するまでは、年金や福祉手当などの公共資金(Public Funds)にアクセスできない ソース3 。
- ITおよびエンジニアリング分野の移民労働者は高い賃金を得ており、公共サービスへの依存度が低い傾向にある ソース10 。
- 2022/23年度の総管理支出は1兆1,590億ポンドであり、そのうち公共サービスへの支出は1兆760億ポンドであった ソース2 。
属性および行動による影響の差異
- 1995年から2011年の間、EEA(欧州経済領域)からの移民は正の純貢献をしたが、非EEAからの移民は負の貢献をする傾向があった ソース2 。
- 移民の年齢による収入成長率は、25歳で4.5%、45歳で0.6%と推定され、若年層ほど成長率が高い ソース1 。
- 2021-2023年の調査では、移民の23.7%が過去12ヶ月に送金を行っており、これにより可処分所得が減少し、間接税(消費税等)の貢献が低下する ソース1 。
- スキルドワーカー・ビザ保持者の滞在率は上昇しており、2010年コホートの10年後滞在率は25%だったが、2018年コホートでは80%に達している ソース9 。
💡 分析・洞察
- 高スキル移民による財政支え: スキルドワーカー、特にITやエンジニアリング分野の移民は、イギリスの平均的な住民よりも高い税負担を担い、かつ公共サービスの利用が少ないため、短期的・長期的な財政収支を改善させる強力な要因となっている。
- 所得格差による貢献の偏り: 財政貢献の大部分(72%)が上位30%の高所得者に集中していることから、移民全体の数よりも「どのようなスキル・所得層を受け入れるか」という質的な側面が財政に与える影響は極めて大きい。
- ライフサイクルと財政負担: 移民本人の貢献は高いものの、子供や成人扶養者は財政的にマイナスの影響を与える傾向がある。これは、教育や医療などの公共コストが、扶養家族の税収貢献を上回るためと考えられる。
- 滞在長期化の二面性: 近年の移民は以前のコホートに比べて定着率が大幅に向上している。これは労働力の安定供給に寄与する一方で、将来的に永住権を取得し公共資金(年金や福祉)へのアクセス権を得た際、財政負担に転じる可能性も示唆している。
⚠️ 課題・リスク
- 将来的な政府支出の増大: 2023/24年度にGDPの44.5%である政府支出が、2073/74年度には60.1%にまで増加すると予測されており、移民による財政貢献がこの増大を相殺しきれるかが不透明である。
- 送金による税収の漏出: 移民の約4分の1が海外送金を行っており、可処分所得の1.5%が国内消費に回らない。これにより、国内で得られるはずの間接税収が抑制されるリスクがある。
- 低スキル・低賃金層の財政負担: 健康・介護(H&C)セクターの主申請者や低スキル移民は、高スキル層に比べて財政貢献が限定的、あるいは扶養家族を含めると負の貢献となる可能性があり、セクター間のバランス調整が課題となる。
- 扶養家族のコスト: 特定のビザカテゴリーにおいて、扶養家族がもたらす財政的なマイナス影響が非常に大きく、世帯単位での財政評価を厳格化する必要性が生じている。
主な情報源: UK Migration Advisory Committee (英国 移民諮問委員会)

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