📊 事実
生物多様性の現状と調査基盤
- 地球上には既知の生物だけで約175万種、未確認を含めると約3,000万種が存在すると推定されている ソース1 。
- 日本の国土の約3分の2を占める森林は、原生的な天然林、里山林、人工林で構成され、高い生物多様性を有している ソース9 。
- 2023年度、1999年から開始された1/25,000現存植生図の整備が完了し、2024年度中に全国版が公開される予定である ソース2 。
- 2024年12月時点で、市民参加型を含む生物多様性データ収集システム「いきものログ」には約535万件のデータが蓄積されている ソース2 。
- 全国約1,000か所の「モニタリングサイト1000」による長期調査では、身近な生き物の減少傾向が観察されている ソース2 。
- 2019年の火山活動により生物相がリセットされた小笠原諸島の西之島では、2021年度から原初の生態系を解明する総合学術調査が継続されている ソース2 。
国家戦略と国際目標
- 2022年12月のCOP15で採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」を受け、日本は2023年3月に「生物多様性国家戦略2023-2030」を策定した ソース7 ソース8 。
- 2030年までに陸と海の少なくとも30%を保全する「30by30目標」の達成に向け、2024年8月時点で陸域の約20.6%、海域の約13.3%が保護地域に指定されている ソース10 。
- 民間等の取組によって生物多様性が保全されている区域を認定する「自然共生サイト」は、2024年度に328か所が認定された ソース10 。
生物多様性保護の具体的施策
- 環境省は、生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR)や、社会課題の同時解決を目指す「自然を活用した解決策(NbS)」を推進している ソース4 ソース8 。
- 国有林野では、原生的な森林を保護する「保護林」や、生息地をつなぐ「緑の回廊」の設定・モニタリングが行われている ソース5 ソース10 。
- 都市部では「まちづくりGX」を通じて、緑地の量・質両面からの確保と生物多様性の向上を図っている ソース7 。
- 経済的側面では、企業による水資源保全等の価値を評価する経済評価の実施や、生物多様性への配慮を組み込んだ循環経済(サーキュラーエコノミー)への移行が提案されている ソース2 ソース8 。
💡 分析・洞察
- 科学的エビデンスに基づく政策立案の強化: 2023年度に完了した現存植生図の整備や「いきものログ」の拡充により、日本の生物多様性はかつてないほど詳細に可視化されている。これにより、従来の勘や経験に頼らない、データに基づいた精密な保全計画の策定が可能になっていると言える。
- 保全と経済活動の統合: 森林資源の循環利用や「自然共生サイト」の認定、さらには循環経済への移行といった施策から、生物多様性保護を「制限」ではなく「新たな価値創造」や「持続可能な経営」の一部として捉え直す動きが加速している。
- 気候変動対策とのシナジー: Eco-DRRやNbSの推進は、生物多様性の保全が単なる自然保護に留まらず、激甚化する自然災害への適応策や脱炭素社会の実現(デコ活等)と密接に結びついていることを示している。
⚠️ 課題・リスク
- 不可逆的な損失と回復の困難さ: 生物多様性は一度損なわれると回復に極めて長い時間を要し、絶滅した種は再生しない。小笠原諸島における外来種アカギの駆除に多大な労力がかかっている事例は、侵入初期の対策の重要性と、一度崩れた生態系の修復がいかに困難であるかを浮き彫りにしている。
- 「第2の危機」による里山の劣化: 人による働き掛けが縮小することで生物多様性が損なわれる「第2の危機」が深刻である。里山林の利用停滞や湿地の減少・劣化は、日本の伝統的な二次的自然環境における固有の生態系を脅かす大きな要因となっている。
- 気候変動による生態系シフト: 温暖な気候を好むタケ類の分布北上など、気候変動による生物相の変化が既に確認されている。これにより、既存の保護地域の設定や管理手法が将来的に機能しなくなるリスクが懸念される。
主な情報源: 環境省 / 国土交通省 / 林野庁

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