森林政策における持続可能な管理の現状と、生物多様性の保全、経済的循環、および気候変動対策を両立させる上での課題は何か?

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📊 事実

森林資源の現状と統計

  • 令和4(2022)年3月末時点で、我が国の森林面積は2,502万haであり、国土面積の約3分の2を占めている ソース9
  • 森林のうち約4割(1,009万ha)が人工林であり、その約6割が50年生を超え、利用可能な段階を迎えている ソース1 ソース9
  • 令和4(2022)年3月末時点の森林蓄積は約56億m3に達し、そのうち人工林が約35億m3を占めている ソース9
  • 森林の所有構造は、57%が私有林であり、その多くが小規模分散的である ソース7 ソース9

生物多様性をめぐる危機と保全

  • 「生物多様性国家戦略2023-2030」では、生物多様性の損失要因として、土地利用の変化自然への働き掛けの縮小外来種の侵入気候変動の「4つの危機」を整理している ソース2
  • 小笠原諸島では外来種アカギが固有の植物相を脅かしており、駆除と回復に多大な労力が必要となっている ソース3
  • 香川県では令和元(2019)年度からナラ枯れ被害が発生し、令和2(2020)年度に対策方針が策定された ソース7
  • 生物多様性を確保しつつ木材生産を行う「保持林業」の実証実験が、平成25(2013)年度から北海道で開始されている ソース7

政策的枠組みと国際目標

  • 令和3(2021)年のCOP26において、我が国を含む140か国以上が2030年までに森林の消失を好転させることにコミットした ソース10
  • 令和7(2025)年2月に閣議決定された地球温暖化対策計画では、令和22(2040)年度の森林吸収量目標を5.1%確保と設定している ソース10
  • 林野庁は令和6(2024)年3月に「建築物への木材利用に係る評価ガイダンス」を作成し、持続可能な木材調達の評価基準を提示した ソース4
  • 2023年9月のTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)提言により、民間企業には自然資本への依存度や影響の評価・開示が求められている ソース4

💡 分析・洞察

  • 人工林の高齢化に伴い、これまでの「育成」から「利用と再造林」の循環へと政策の重点が移っている。特に50年生を超える森林が過半数を占める現状では、主伐後の確実な再造林が持続可能性の鍵となる。
  • ESG投資TNFDの広まりにより、企業が木材を利用する際、単なる資材調達ではなく「生物多様性への配慮」や「合法性」を情報開示することが、企業の市場価値に直結する時代となっている。
  • 保持林業の実証結果が示す通り、広葉樹を一定数残すなどの生物多様性配慮型施業は、木材生産コストを大きく上昇させずに実施できる可能性があり、経済性と環境保全の両立に向けた有効な手段となり得る。
  • 自然を活用した解決策(NbS)Eco-DRRの考え方が浸透しつつあり、森林を単なる木材生産の場としてだけでなく、防災・減災や気候変動適応のインフラとして再定義する動きが加速している。

⚠️ 課題・リスク

  • 所有構造の小規模分散性が、効率的な森林管理や施業の集約化を阻む大きな障壁となっており、森林経営管理制度の活用による集約化が急務である。
  • 再造林コストの負担が課題であり、木材販売収入だけで苗木代や下刈り等の経費を賄えない場合、伐採後の放置(未植栽地の発生)による多面的機能の低下が懸念される。
  • 里山林の管理放棄による「第2の危機(働き掛けの縮小)」が深刻化しており、特有の生物多様性が失われるとともに、タケ類の分布北上や病害虫被害の拡大を招くリスクがある。
  • 気候変動による災害の激甚化は、保安林の機能限界を超える土砂災害等を引き起こす恐れがあり、適応策としての森林整備と路網整備の加速が求められる。

主な情報源: 林野庁 / 環境省

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