県議会議員の報酬や手当に関するルールを定めた「埼玉県議会議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例」の原文情報をもとに、その内容をわかりやすく整理しました。
この条例で何が決められているの?(第一条)
まず、この条例は埼玉県議会議員に対して支給される以下のお金について定めています。
- 議員報酬: いわゆる毎月のお給料です。
- 費用弁償: 議会の会議に出席したり、公務で旅行したりする際にかかる交通費などの実費弁償です。
- 期末手当: 一般的にボーナスと呼ばれるものです。
議員報酬はいくら?(第二条)
県議会議員の月額報酬は、基本的に 92万7千円 です。
ただし、議長や副議長、委員長などの役職に就いている議員は、その責任に応じて報酬額が上乗せされます。主な役職者の報酬月額は以下の通りです。
役職 | 月額報酬 |
県議会議長 | 114万4千円 |
県議会副議長 | 101万6千円 |
県議会議会運営委員会委員長 | 99万4千円 |
県議会議会運営委員会副委員長 | 97万2千円 |
県議会常任委員会委員長 | 97万2千円 |
県議会常任委員会副委員長 | 95万円 |
もし議員がこれらの役職を複数兼ねている場合は、最も高い方の報酬額が支給されます。
報酬はいつからいつまで支給されるの?(第三条)
- 議員報酬は、議員の職に就いた日から、職を離れた日(死亡した場合はその日の属する月)まで支給されます。
- 月の初日からでない場合や、月の末日まででない場合は、日割りで計算されます。
公務での旅費(費用弁償)はどうなるの?(第四条、別表第一・第二)
議員が公務のために旅行する際には、費用弁償が支給されます。
1. 基本的な旅行
一般の県職員の旅費支給ルールに準じて支払われますが、日当や宿泊料などについては、条例の別表で具体的な金額が定められています。
- 国内旅行の費用弁償(日当・宿泊料・食卓料) (別表第一より)
- 日当(1日につき):3,300円
- 宿泊料(1夜につき):16,500円
- 食卓料(1夜につき):3,300円
- 外国旅行の費用弁償(日当・宿泊料・食卓料・死亡手当) (別表第二より)外国旅行の場合は、行き先の都市や役職によって金額が異なります。
- 例:議長が指定都市へ旅行する場合
- 日当:10,500円
- 宿泊料:32,200円
- 食卓料:8,600円
- 死亡手当:880,000円
- 例:副議長及び議員がその他の地域へ旅行する場合
- 日当:7,900円
- 宿泊料:24,200円
- 食卓料:8,000円
- 死亡手当:800,000円
- 例:議長が指定都市へ旅行する場合
2. 議会や委員会への出席のための旅行
県議会の招集に応じて旅行する場合や、閉会中に委員会(常任委員会、議会運営委員会、特別委員会)の招集に応じて旅行する場合には、住所地から招集地までの距離に応じて、以下の定額が支給されます。
区分 | 1日あたりの費用弁償額 |
招集地に居住している、または招集地外で10km未満の距離 | 6,000円 |
50km未満(上記以外) | 8,100円 |
50km以上 | 10,200円 |
3. 上記以外の委員会用務での国内旅行
この場合は、一般職員の旅費額から日当と旅行雑費を引いた額に、1日につき3,300円を加えた額が支給されます。
期末手当(ボーナス)の計算方法は?(第五条)
期末手当の額は、以下の式で計算されます。
(議員報酬月額 + 議員報酬月額 × 45%) × 支給割合
「支給割合」は、別の条例(特別職の職員の給与及び旅費に関する条例)で定められた割合が用いられます。
ただし、在職期間が6ヶ月未満の場合は、在職期間に応じて支給額が減額されます。
在職期間 | 支給割合(本来の額に対して) |
5ヶ月以上6ヶ月未満 | 100分の80 (80%) |
3ヶ月以上5ヶ月未満 | 100分の60 (60%) |
3ヶ月未満 | 100分の30 (30%) |
期末手当のその他の支給ルールは、一般の県職員の例に倣います。
結局、年収はどれくらい?
さて、ここまで議員さんの月々のお給料(議員報酬)や手当について見てきましたが、「じゃあ、年収にすると一体いくらなの?」と気になった方も多いのではないでしょうか。
そこで、この条例に基づいて、役職に就いていない一般の県議会議員さんの年収を試算してみました!
年収の主な内訳
議員さんの年収は、主に以下の2つから成り立っています。
- 議員報酬(毎月のお給料): 条例によると、月額は 92万7千円 です。
- 期末手当(ボーナスのようなもの): 年に2回(通常6月と12月)支給されます。
計算してみると…
- 議員報酬(年額):92万7千円 × 12ヶ月 = 1112万4千円
- 期末手当(年額):期末手当の計算は少し複雑ですが、まず「議員報酬月額 + (議員報酬月額 × 45%)」で「基礎額」を算出します。この基礎額(92万7千円の議員の場合、134万4150円)に対して、別の条例(特別職の職員の給与及び旅費に関する条例)で定められた支給割合を掛けて計算されます。調査時点の規定では、この年間支給割合を合計すると、基礎額の約4.35ヶ月分(6月期が約2.15ヶ月分、12月期が約2.20ヶ月分に相当※)となります。これを計算すると、年間の期末手当は、134万4150円 × 約4.35 ≒ 約584万7千円 となります。(※この支給割合は、関連条例の改正によって変動する可能性があります。)
- 合計年収(試算):年額議員報酬 約1112万4千円 + 年間期末手当 約584万7千円= 約1697万1千円
つまり、条例に基づいて計算すると、役職に就いていない一般の埼玉県議会議員さんの年収は、おおよそ 約1697万円 ということになります。
【知っておきたいポイント】
- この金額には、公務での出張の際の日当や交通費、宿泊費といった「費用弁償」は含まれていません。これらは実費を弁償する性格のものです。
- 期末手当は、在職期間が短い場合には規定に基づいて減額されることがあります。上記の計算は、在職期間が満額支給の条件を満たしている場合を想定しています。
- 議長、副議長、あるいは委員会の委員長などの特定の役職に就いている議員は、月額報酬がこれよりも高く設定されているため、年収もさらに多くなります。
より詳しい原文や改正の経緯については、埼玉県法規集データベースで確認することができます。
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