社会保障の崩壊か?高額療養費制度改革がもたらす不安

参考:第 189 回社会保障審議会医療保険部会

委員の詳細情報

以下は、社会保障審議会医療保険部会のメンバー全員について、可能な限り詳細な情報を収集した内容です。

1. 伊奈川 秀和

  • 所属: 東洋大学福祉社会デザイン学部教授
  • 専門分野: 社会福祉学、地域福祉、権利擁護
  • 経歴:
    • 九州大学で法学博士号取得。
    • 福祉社会開発研究センターで研究活動を行い、高齢者福祉や成年後見制度などをテーマに研究。

2. 内堀 雅雄

  • 所属: 全国知事会社会保障常任委員会委員長/福島県知事
  • 経歴:
    • 東京大学経済学部卒業後、自治省(現総務省)に入省。
    • 福島県副知事を経て、2014年から福島県知事に就任(現在3期目)。
    • 高齢化対策や復興政策に注力。

3. 大杉 和司

  • 所属: 日本歯科医師会常務理事
  • 役割:
    • 社会保険関連業務を担当し、地域医療や歯科医療の充実に向けた取り組みを推進。

4. 兼子 佳子

  • 所属: 全国老人クラブ連合会理事
  • 活動内容:
    • 高齢者の健康維持や地域活動の推進に尽力。
    • 高齢者福祉政策に関する提言を行う。

5. 菊池 馨実

  • 所属: 早稲田大学法学部教授
  • 専門分野: 社会保障法、労働法
  • 経歴:
    • 北海道大学で法学博士号取得。
    • 年金制度や医療保険制度改革に関する研究で著名。

6. 北川 博康

  • 所属: 全国健康保険協会(協会けんぽ)理事長
  • 役割:
    • 中小企業従業員向け医療保険運営と健康増進施策を推進。

7. 城守 国斗

  • 所属: 日本医師会常任理事
  • 役割:
    • 医療政策や社会保険関連業務を担当し、医師の働き方改革にも注力。

8. 河野 良康

  • 所属: 全国町村会理事/愛媛県久万高原町長
  • 活動内容:
    • 地域振興や高齢者支援施策に尽力。

9. 佐野 雅宏

  • 所属: 健康保険組合連合会(健保連)会長代理
  • 役割:
    • 医療費適正化や保険制度の持続可能性確保に向けた施策を推進3

10. 島 弘志

  • 所属: 日本病院会副会長
  • 役割:
    • 病院経営や地域医療連携の推進に注力4

11. 柚井 雅子

  • 所属: NPO法人高齢社会をよくする女性の会理事
  • 活動内容:
    • 高齢者福祉や介護問題への取り組みを行う。

12. 田辺 国昭

  • 所属: 東京大学大学院法学政治学研究科教授
  • 専門分野: 行政学、政策科学、社会保障政策
  • 経歴:
    • 東京大学卒業後、東北大学助教授などを経て東京大学教授。
    • 中央社会保険医療協議会公益側委員なども歴任5

13. 中村 さやか

  • 所属: 上智大学経済学部教授
  • 専門分野: 労働経済学、公共政策
  • 経歴:
    • 国際基督教大学卒業後、東京大学で修士号取得。ノースウェスタン大学でPh.D.取得6

14. 任 和子

  • 所属: 日本看護協会副会長
  • 活動内容:
    • 看護職の処遇改善や人材確保施策に注力7

15. 原 勝則

  • 所属: 国民健康保険中央会理事長
  • 経歴:
    • 厚生労働省出身。老健局長や厚生労働審議官などを歴任。
    • 医療費適正化や国民健康保険制度改革に尽力8

16. 藤井 隆太

  • 所属: 日本商工会議所社会保障専門委員会委員
  • 活動内容:
    • 中小企業の視点から社会保障制度改革を提言。

17. 前葉 泰幸

  • 所属: 全国市長会相談役/津市長
  • 活動内容:
    • 地域振興と社会保障政策の調整役として活躍。

18. 村尾 直人

  • 所属: 日本労働組合総連合会副事務局長
  • 役割:
    • 労働者の権利擁護と社会保障制度改革への提言を行う。

19. 横尾 隆俊

  • 所属: 全国後期高齢者医療広域連合協議会会長/多久市長
  • 活動内容:
    • 高齢者医療制度の運営と地域医療支援に尽力。

20. 横木 美津子

  • 所属: 日本経済団体連合会社会保障委員会 医療・介護改革部会長
  • 活動内容:
    • 経済界から見た持続可能な社会保障制度改革を提案。

21. 渡邉 大記

  • 所属: 日本薬剤師会副会長
  • 役割:
    • 薬剤師の職能向上と地域包括ケアへの貢献促進に注力。

現役世代への影響

1. 高額療養費制度の見直し

  • 概要: 高額療養費制度では、医療費の自己負担額に上限が設けられていますが、この上限額を引き上げる方向で議論されました。
  • 影響:
    • 現役世代(70歳未満)の約400万人が対象となり、自己負担限度額の引き上げにより医療費負担が増加する可能性があります48
    • 一方で、所得区分を細分化することで、低所得層には配慮し、高所得層により多くの負担を求める形で公平性を確保します27

2. 被用者保険の適用拡大

  • 概要: 短時間労働者やパートタイマーなどへの被用者保険適用拡大が進められています。
  • 影響:
    • 現役世代の短時間労働者が新たに保険料を支払う必要が生じますが、その結果として年金給付や医療保障が充実します6
    • 「年収130万円の壁」などを意識せず働くことが可能となり、就業機会の拡大につながる一方で、可処分所得への影響も懸念されています36

3. 後期高齢者医療制度への支援金負担

  • 概要: 現役世代は後期高齢者医療制度を支えるため、支援金として保険料の一部を負担しています。この仕組みについても見直しが検討されています。
  • 影響:
    • 高齢者層、とりわけ高所得高齢者への負担増を進めることで、現役世代の支援金負担を軽減する方向性が示されています27
    • この見直しにより、年間で最大5,600円程度の保険料軽減効果が期待されます7

4. 医療費全体の公平性確保

  • 概要: 高齢化や医療技術の進展による医療費増加に対応するため、現役世代と高齢者世代間で負担を公平化する改革案が議論されています。
  • 影響:
    • 高齢者層では外来特例廃止や窓口負担割合引き上げなど、高所得高齢者への負担増加が検討されており、その分現役世代の負担軽減につながる可能性があります258

課題と今後の方向性

  1. 現役世代への配慮:
    • 負担増となる施策(高額療養費限度額引き上げ)と、軽減策(後期高齢者支援金の見直し)のバランスを取る必要があります。
    • 特に低所得層や子育て世帯へのさらなる配慮が求められています。
  2. 制度持続可能性:
    • 医療費全体の増加に対応しつつ、現役世代と高齢者世代間で公平な負担構造を構築することが重要です。
  3. 周知と理解促進:
    • 制度改正による影響を国民に丁寧に説明し、安心して利用できる環境整備が必要です。

これらの改革案は、現役世代と高齢者世代との間で公平な負担構造を目指す一環ですが、慎重な議論と段階的な導入が求められています。

Citations:

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  2. https://gemmed.ghc-j.com/?p=64267
  3. https://www.city.toshima.lg.jp/368/kuse/gikai/ikensho/2312050907.html
  4. https://hodanren.doc-net.or.jp/info/news/2025-01-23/
  5. https://www.kyoukaikenpo.or.jp/2020605sankou02.pdf
  6. https://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/keikaku_kanshi/siryo/pdf/ka20-2.pdf
  7. https://job.minnanokaigo.com/news/kaigogaku/no1498/
  8. https://www.fp-soken.or.jp/fpnews/medical-fpnews/no351-2/
  9. https://www.youtube.com/watch?v=iYstxDM7zDg
  10. https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001351612.pdf
  11. https://www.siteitosi.jp/conference/pdf/f978cb7921322666c371ffc2b2a4c05966d50b73.pdf
  12. https://www.taiju-life.co.jp/joyful/money/040/index.htm
  13. https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_51831.html
  14. https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001365189.pdf
  15. https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001393881.pdf
  16. https://h-crisis.niph.go.jp/wp-content/uploads/2018/10/20181010103617_content_12601000_000363225.pdf
  17. https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001351609.pdf
  18. https://gemmed.ghc-j.com/?p=63862
  19. https://www.wam.go.jp/gyoseiShiryou/detail?gno=21223&ct=010010050&from=rss
  20. https://www.doyukai.or.jp/policyproposals/2024/241202b.html
  21. https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2015/06/pdf/016-026.pdf

日本福祉大学名誉教授・二木立氏の見解

提示された参照先(岩永直子氏のインタビュー記事)に基づき、高額療養費制度の見直しに関する意見の妥当性を検証します。この意見は、日本福祉大学名誉教授・二木立氏の見解を中心に展開されています。

1. 政策決定過程の透明性と議論不足

  • 主張: 高額療養費制度の見直しが「十分な議論のないまま唐突に決められた」と批判されています。特に、患者団体へのヒアリングが行われなかった点が「手続き民主主義」に反すると指摘されています。
  • 妥当性:
    • この批判は妥当性があります。社会保障政策は国民生活に重大な影響を及ぼすため、幅広いステークホルダー(患者団体や医療関係者など)の意見を反映させることが求められます。
    • 実際、患者団体が「治療継続断念につながる」として緊急署名活動を行っていることからも、当事者への配慮が不足していると考えられます。

2. 負担増の対象者と公平性

  • 主張: 高額療養費制度を利用する患者はすでに多額の自己負担をしており、その負担をさらに増やすことは「不公平」であるとされています。また、この見直しが「社会連帯」の理念に反すると指摘されています。
  • 妥当性:
    • 高額療養費制度は、医療費負担を軽減するセーフティネットとして機能しており、特に重病患者や慢性疾患患者にとって重要です。この制度利用者への負担増が他の保険料軽減につながる仕組みは、「応能負担原則」に反する可能性があります。
    • 二木氏が指摘するように、現役世代全体で広く浅く負担を分担する方針であれば、「社会連帯」の理念に沿った解決策となる可能性があります。

3. 子育て支援財源との関連

  • 主張: 見直しによる財源が子ども・子育て支援金に充てられることについて、「高額療養費利用者への負担増で捻出するのは不適切」と批判されています。
  • 妥当性:
    • 子育て支援政策自体は重要ですが、その財源を医療費負担増で賄うことには慎重な検討が必要です。特定の患者層に過度な負担を課すことは、社会的弱者への配慮という観点から問題視される可能性があります。

4. 医療保険制度全体への影響

  • 主張: 高額療養費制度の見直しが医療保険財政全体への影響を過大評価しているとの指摘があります。二木氏は、高額療養費が総医療費に占める割合は6〜7%程度であり、「大きな影響」という説明は過剰だと述べています。
  • 妥当性:
    • データに基づくこの指摘は説得力があります。医療保険財政全体への影響を正確に評価しないまま、特定のセーフティネットを削減することは慎重であるべきです。

結論

二木立氏の意見には妥当性があり、高額療養費制度の見直しには以下の課題が存在します:

  1. 手続きや議論不足による透明性欠如。
  2. 社会連帯や公平性への懸念。
  3. 子育て支援財源としての利用方法への疑問。
  4. 医療保険財政全体への影響評価の不十分さ。

これらを踏まえると、政策決定プロセスの透明化と、より多くの国民や専門家との議論が必要です。また、現行制度の理念(セーフティネット)を維持しつつ、公平な負担構造を模索することが求められます。

Citations:

  1. https://pplx-res.cloudinary.com/image/upload/v1739940764/user_uploads/yHkjmxLWUFbRVLV/GkG2PD5aAAQiR6R.jpg
  2. https://naokoiwanaga.theletter.jp/posts/2345fbf0-e1f6-11ef-9fdf-0ba1d0fbc37b
  3. https://naokoiwanaga.theletter.jp/posts/2345fbf0-e1f6-11ef-9fdf-0ba1d0fbc37b

その他有識者からの批判的意見

1. 島根県知事 丸山達也氏の批判

  • 主張: 高額療養費制度の上限額引き上げは「生存権の侵害」であり、「国家的な殺人未遂」に等しいと強く批判。
  • 背景: 年収650万円の場合、年間負担上限額が現行の64万円から111万円に引き上げられる試算が示されており、治療を諦めざるを得ない患者が増える可能性を懸念。
  • 妥当性:
    • 丸山氏の主張は憲法25条(生存権)に基づくもので、治療継続が困難になる患者への影響を強調しており、人道的観点から妥当性があります。
    • ただし、政府は長期治療患者への配慮として一部凍結案を提示しており、この点は丸山氏の批判に対する一定の対応策といえます。

2. 全国保険医団体連合会 本並省吾氏の指摘

  • 主張: 政府が試算した「5330億円の医療費削減」のうち、2270億円は受診抑制によるものであり、これは「命を切り捨てる」行為だと批判。
  • 背景: 高額療養費制度の負担増が患者の受診行動に影響を与え、必要な医療を受けられない人が増える可能性を指摘。
  • 妥当性:
    • 本並氏の指摘は、受診抑制による健康被害や命に関わる問題を重視しており、医療アクセス確保という観点から非常に重要です。
    • 一方で、政府側は「機械的な試算」と釈明しており、実際の影響についてはさらなるデータ分析が必要です。

3. 国民民主党 玉木雄一郎氏の指摘

  • 主張: 高額療養費制度が外国人にも適用される現行制度について、「滞在期間要件を厳格化すべき」と主張。
  • 背景: 短期滞在者が高額な医療支援を受けられる仕組みが、日本人納税者にとって不公平だと指摘。
  • 妥当性:
    • 玉木氏の意見は公平性や財政健全化という観点から妥当であり、特に短期滞在者への適用条件見直しは国民的議論として必要です。
    • ただし、この問題は高額療養費制度全体ではなく外国人適用条件に限定されており、本質的な見直し議論とは分けて考えるべきです。

4. 医師会や専門家委員からの意見

  • 主張:
    • 日本病院会 島弘志委員:「医療保険財政圧迫への対応として見直しはやむを得ない」。
    • 日本医師会 城守国斗委員:「セーフティネットとしての意義を踏まえた十分な議論が必要」。
  • 妥当性:
    • 島委員の意見は財政健全化という観点から妥当ですが、患者負担増による健康被害リスクへの配慮が不足している可能性があります。
    • 城守委員の意見は、高額療養費制度のセーフティネット機能維持という本質的課題に触れており、バランスの取れた提案といえます。

結論

批判にはそれぞれ妥当性がありますが、多くの意見が以下の課題を指摘しています:

  1. 生存権への影響: 負担増による治療断念リスクや受診抑制問題。
  2. 公平性と財政健全化: 負担能力に応じた仕組み構築や外国人利用条件見直し。
  3. 十分な議論不足: 制度変更プロセスで患者団体などステークホルダーへの配慮不足。

これらを踏まえ、高額療養費制度見直しには慎重な議論とデータ分析、そして国民的合意形成が不可欠です。

Citations:

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  4. https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/731470
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  6. https://www.fnn.jp/articles/-/827381
  7. https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/731119
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  9. https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=81141?site=nli
  10. https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001351612.pdf
  11. https://www.tokyo-np.co.jp/article/382362
  12. https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001351610.pdf
  13. https://news.yahoo.co.jp/articles/b43da94ee347341902292a8b92cf5855793b5f27
  14. https://www.sankei.com/article/20241115-WIWYR4ZOCNLXROHZU53WOUU2U4/
  15. https://www.m3.com/news/iryoishin/1258862
  16. https://mainichi.jp/articles/20250218/k00/00m/040/231000c
  17. https://hodanren.doc-net.or.jp/info/news/2025-01-10/
  18. https://news.yahoo.co.jp/articles/001df0e61ce97e160d817174c3913b1fbbebf7cf
  19. https://healthnet.jp/medipaper/%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC%E7%AC%AC167%E5%8F%B7%E3%80%802013%E5%B9%B45%E6%9C%8825%E6%97%A5/%E6%83%85%E5%8B%A2%E3%83%88%E3%83%94%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E5%8C%BB%E7%99%82%E3%83%BB%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E4%BF%9D%E9%9A%9C%E7%B7%A8-26/%E3%80%90%E9%AB%98%E9%A1%8D%E5%8C%BB%E7%99%82%E8%B2%BB%E3%80%91%E9%AB%98%E9%A1%8D%E7%99%82%E9%A4%8A%E8%B2%BB%E3%81%A7%E3%80%8C%E5%85%AC%E7%B4%84%E9%81%95%E5%8F%8D%E3%80%8D%E3%81%A8%E6%B0%91%E4%B8%BB/
  20. https://job.minnanokaigo.com/news/kaigogaku/no1498/
  21. https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000144395.pdf

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